ふれあいはだいじ ページ5
みんなと別れたあと、ケインは相かわらずついてくる。ひとりでも平気だと言っても、彼はにこにこするだけで首を横にふった。
「ダメだよ、君にもバブルを使役することはできるようにしたけど……やはり、心配なものは心配なんだ」
見た目はやっぱり子どもみたいに小さいけど、そこまで心配されることはない。そう言っても、彼は腕をくんでわたしの言葉に相かわらず首を横にふる。
「じゃ、じゃあ……私が一緒に行くわ……良い、かしら……?」
わたしたちの間に、ポムニが声をかけてきた。いたのは気がつかなくて、彼女をじいっと見てしまう。それはケインも同じで、同じように彼女をじいっと見ている。一気にふたりぶんの目線をうけて、ちょっともじもじ恥ずかしそうにする。
今はケインから離れたいのとせっかくだからで、ポムニに近づいて彼女の横に立った。そして手をそっと取って、にこにこしてみる。
「むむ……分かりました……絶対にポムニから離れないでください」
「良かったね、ノーレ」
「ポムニ!彼女から目を離さないで欲しい!絶対だ!」
「わ、分かったわ……」
かなりしっかり言っている姿は、とても必死なようす。近くで見るわたしにも、そのふんいきはひしひしと感じた。だってそれをむけられているポムニが、引きつった顔で何度もゆっくりだけど頷いているから。
ケインに見送られ、ポムニといっしょに歩く。色んな場所を教えてくれるけど、どこもかしこも派手な色で目がちかちかする。体がふらふらしていると、ポムニが前にきてしゃがんできた。それが背中で、もしかしておんぶしようとしているのかな。
「もし歩きにくいなら、おんぶするけど……どう?」
い、いや、まだがんばる。わたしはそこまで子どもじゃないもん。ただ、見なれないだけだもん。大丈夫だと言いながら、立ちあがったポムニに手をにぎってもらいながら歩く。やっぱり小さいし彼女の腰よりちょっと背が高いくらいだから、あのメンツの中で小さすぎるのは悲しい。
「良いのよ……!気にしてないわ……!じゃあ、目に優しい場所に行きましょ……?ねっ?」
彼女といっしょにテントの外に出た。緑のしばふが広がって、気分も視界も落ちついた。なんとなく空を見上げると、夜と昼がいっしょでちょっとへんなものだと思った。
「私も初めて見た時は、驚いちゃったわ。でも今は、もう慣れちゃったの……慣れって恐ろしいわね、本当の空を忘れそうになるわ……」
そうなると、ちょっと悲しいよね。
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さとうみさん(プロフ) - エヌアさん» はい、彼は基本的に温厚ですからね。誰でもそうなので、多分特別なベルダースなキャンディはくれないと思います、多分。今作もとある曲たちを異色混合させまくったので原型があんまりないです。はい。進んで行ったら片鱗はあるかもですね。 (1月10日 18時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - 新作読みました!優しいですね…(泣)ケインってもう凄い!不気味がまたいいって物もあります! (1月10日 8時) (レス) @page8 id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - エヌアさん» ありがとうございます、今回は全方向な彼を魅せれたらなと思います!不気味が強くなると思いますけど(笑) (1月9日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - 最近、目が悪かったので目の保証になるぐらいいい文章でした! (1月9日 13時) (レス) id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - ケインがメインなんですね!もう、なんと言ったらいいか分かんないぐらい嬉しいです!こんないい作品を作ってくださりありがとうございます! (1月9日 13時) (レス) @page7 id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
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