前からもこれからも ページ16
ポムニたちと別れて、そのすぐに出会ったケイン。彼に何となくで聞いてみる。
「ああ!そのことでしたか!ええ、もちろん!貴女は常に、見た目も中身も成長してますよ!」
初めて知った。ケインったら毎日にこにこしてるだけで、重要なことは何一つ教えてくれないんだもの。
「当たり前じゃないですか!貴女の成長の妨げになることは、絶対したくないのですよ!」
そう言うけど、ちょっとぬけてるからやっているんじゃないか。
完璧大好きでそういうふるまいはいっぱいだけど、ちょこちょこ見落としがあるようなないような。まあ、それは言ったら彼を傷つけてしまうかもしれないから、ぐっと飲みこむ。
「何でしたら、貴女の全成長過程のデータありますよ」
ちょっと待って、全てってどこから。それを聞く前に、「たどたどしい口調ながらも私の手に、幼く可愛らしい華奢な手を重ねてくださって……その時からありますよ」と答えた。一体いつの話だ、彼と出会った時はそんなシーンがあったような。そしてその時は、生まれたてのわたしを誰かとカン違いしていたみたいだし。どうしてかな、まあいいけど。
「キャラクターたちのデータも取ってるんです、でもまあ彼らはただ管理的なデータに過ぎないので簡易的に纏めてます。だって私にはそんなに価値があるように見えませんもの、ええ。私はノーレさんの方が、ずっと価値があるように思えますよ!なので纏めるなんて以ての外、言語道断です!1から10まで全て今までの過程を残しているのです!いやあ、見返しても興味深く何ともまあ愛おしい……成長する電子の存在、何と素敵なのでしょう!そのようになっ―――コホン!」
変なこと言いかけた、わざとらしく咳ばらいした。じいっと怪しむ目で見ていると、何故かもじもじしだす。ちょっと目も伏せがちで、わたしをちらちら見てる。何してんだ、今度は。
「そんなに熱烈に見られると……いくら完璧な私でも、羞恥心を抱きます……しかし、これはこれで……」
何を照れてんの、彼の腕をちょんちょんとつつく。だってさっきから変だもん、気味悪いもん。ジャックスがケインを気味悪いって言ってたけど、今分かった気がする。
「良いじゃないですか!私だって、貴女と触れ合って交流して親睦を深めたいんですよ!いつも他の方にカウンセリングをしてて、私を疎かにしていたじゃないですか!いつも貴女のデータと向かい合う程に、渇望していた私の気持ちが分かりますか!?」
分からないよ……。
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さとうみさん(プロフ) - エヌアさん» はい、彼は基本的に温厚ですからね。誰でもそうなので、多分特別なベルダースなキャンディはくれないと思います、多分。今作もとある曲たちを異色混合させまくったので原型があんまりないです。はい。進んで行ったら片鱗はあるかもですね。 (1月10日 18時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - 新作読みました!優しいですね…(泣)ケインってもう凄い!不気味がまたいいって物もあります! (1月10日 8時) (レス) @page8 id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - エヌアさん» ありがとうございます、今回は全方向な彼を魅せれたらなと思います!不気味が強くなると思いますけど(笑) (1月9日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - 最近、目が悪かったので目の保証になるぐらいいい文章でした! (1月9日 13時) (レス) id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
エヌア - ケインがメインなんですね!もう、なんと言ったらいいか分かんないぐらい嬉しいです!こんないい作品を作ってくださりありがとうございます! (1月9日 13時) (レス) @page7 id: 0bd8eb1c3e (このIDを非表示/違反報告)
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