とっても幸せなの。[新井](中) ページ2
「うおおおおおおおお!!!!!!」
今までにないくらいのスピードでキーボードを打つ。
タイピングが早すぎてパソコンが最早ついていけていなかった。
あの後、「良かった。では、18:00にミレミアムタワー前で。久しぶりに会えるのが楽しみです。」という嬉しすぎる返事は、Aの仕事魂の着火剤となった。
今は16:00。まだ時間はある。
私が着替えたりする時間を考慮して待ち合わせを遅らせてくれた新井の心遣いに、Aの顔はさらに蕩けるのであった。
きっと新井さんは既に待ち合わせ場所へと向かっている筈だ。
私もちゃっちゃと終わらせて、洋服買って、おめかしして行かなくちゃ!
そんなこんなで本来2時間かかる仕事を25分で終わらせたAであった。
「おっしゃあ帰るぞ!!!!」
ウキウキしながら荷物をまとめるAだったが、ある事を思い出すと途端に表情が暗くなる。
そうだ、会長に早退するって報告しなきゃ・・。
チッ、と顔を歪ませながら、今大吾は何をしているのかを思い出す為にスケジュール帳をぱらぱらと開く。
そういや今頃は幹部会議だっけ。勝手に入っていいのかしら。
「ま、いいか。新井さんの方が大事だし。」
東城会と彼氏とを天秤にかけ、当然後者を取った名前は会議室へとスキップしながら向かった。
ドンドンドンドンと乱暴にドアを叩き、勢いよく開ける。
ポカーンと口を開け、唖然としている冴島さんの顔と、
呆気に取られている柏木さんの顔と、
眉間の皺を深くする峯さんの顔と、
何故か嬉しそうにニヤニヤしている真島さんの顔と、
カチコミか!?と慌てるその他幹部の顔と。
そして目を見開いている、探していた堂島会長の顔を見つめ、一目散に彼の元へと走る。
「会長!!私、早退します!!!!あ、仕事は終わりました!!!!!!大丈夫です!!!!という事で帰ります!!!!さよなら!!!!!!!」
「ん?・・・ん・・・?」
状況に着いていけず、ひたすら首を傾げる会長。
そしてついに怒った峯さんにスパーンッ!と部屋の端にあったスリッパで思い切り頭を叩かれるのと、幹部の人に怒鳴られるのはほぼ同時であった。
そしてその後、真島さんの笑い声が部屋に響いたのであった。
−続け−
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作者名:顕微鏡 | 作成日時:2016年8月14日 0時