【すとぷり】拾われました。【男主】

#29.恐怖 ページ29

Aside


-21:30ごろ-


母｢母さん仕事行くから、大人しくしててね｣

『………はい』

母｢出ていこうなんてバカなこと考えるんじゃないわよ｣

『………分かって、ます、』

母｢はぁ………じゃあいってくるわね｣

『………………』




ｶﾞﾁｬﾝ



はぁ、やっといなくなった。
でもこれからどうしよう？

明日は………え、始業式？
え？嘘だろ？


『あー………宿題…………やるかぁ………』


めんどくさいけど、こんなのすぐ終わるし。





-3時間後-



『ふぅ………あと、は………歴史だけか……』



うん…………分かんねぇ…………
歴史の人物とか正直どうでもいい………
覚えたところでなんかあんのか？


『あー……分かんねぇなぁ………』



ﾋﾟrrrrrrrrrrrrr


え、うるさ、びっくりしたんだけど。
しかもこんな夜に誰だよ。


『………なー………くん…………？』


ﾋﾟｯ


『もし、もし、』

な《あ！出てくれた！よかったぁ……！》

『え、あ、うん……』

な《今周りに誰かいる？》

『いや、今は1人、だけど』

な｢そっかそっか………電話出てくれただけで嬉しいよ、ありがとね｣

『え、え、あ、え、あ、は、はい』

な《え？もしかして照れてる？》

『………っせぇ……』

な《あははww冗談だよwwそれで質問なんだけどね》

『なに……』

な《君はその家から出たい？》

『……………………！！』

な《………君はどうしたい？》

『どう……したい…………』

な《家を出てここに戻ってくるか、
そのままその家にいるか》



生きるか死ぬか、ってことだよな。

家を出て生きるか、
家を出ずにそのまま死ぬか。

でも、にげたらどうなる？
またあんなふうになるんじゃないか？
俺に逃げ道なんてないんじゃないか？



『お、れは………』

な《……………うん》



？｢おい｣


背後から聞こえたあの声。
何回も何回も聞いたあの声。


ｶﾋｭｯ


喉に何かが詰まる。
息が上手く吸えない。


目の前のやつに対する恐怖で駆られている。



？｢お前誰と話してんだよ｣


こわい、こわい、


『ひっ、ご、ごめ、なさ、』

？｢誰と話してるかって聞いてんだよ｣

『い、いや、ごめ、なさ、ゆるし、て、』


な《……く……！？だい……ぶ！？……て！》



手のひらから滑り落ちた｢すまほ｣から
誰かの声が聞こえる。


『なー………く、ん、』

#30.待っててね→←#28.あの人たちは

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す