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『みんな！久しぶり』
「おー、A久々！」
「仕事お疲れ。何飲む？」
予定時刻より30分遅れてお店に着くと知った顔ぶれがみんな揃っていて、息を整えながら空いてる席に座る。挨拶もそこそこにメニューに目を通して近くにいた店員さんにビールを頼んだ。
「今日のカントゥーヤはりょうくんじゃない？」
「は？バカやん。あれはとしみつの専売特許でしょ」
「もう勘弁してくれ！」
『って言ってやってくれるんでしょ？』
「お前マジでいい加減にしりん！」
怒った口調でも目は笑っていて、乾杯の音頭が取られた。グラスがかち合う音が心地よくて、喉を通るアルコールが仕事の疲れを癒してくれる。よかった、いつも通りだ。
「…というわけで、Aと付き合うことになりました！」
『…不束者ですが、よろしくお願いします？』
「いや、なんで疑問形？」
「とにかくめでてーな！」
いつも以上にハイペースに飲み進める面々に、逆に冷静になってしまっていつもよりちびちびとアルコールを摂取する。メンバーのこととはいえこんなことで一々喜んでくれる温かい人たちに、出会えて良かったなぁと改めて思う。色んな思い出のある東京を飛び出して、何にも縛られず誰も自分を知らない土地へふらっと来ただけだというのに、前世の私はどれだけ徳を積んでくれたのだろうと感謝すらした。
『ごめん、お手洗い行ってくる』
トイレに立ち、剥がれたグラスだけ整えて席に戻ろうと扉を出たところで人とぶつかる。反射で謝れば、いつかは気まずかった人。アルコールで上気した頬がいつもより表情を柔らかくしている気がする。
「おめでとう。やっぱりお前らお似合いだげ」
『…うん、ありがとう』
「…もう、私なんかって言うなや？そんなお前を好きになってくれる奴と結ばれたんだから」
それだけ言って頭を２回ポンポンと叩かれたと思えば、としくんは何事もなかったように席に戻っていった。折角手にした幸せを、壊してはいけない。甘い胸の痛みは、苦ささえ感じるようだった。
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びっくりすることに、タイトルに間違えて
固定名を入れるというミスを犯してました←
見てびっくりされた方すみません…。
ホント早めに気付いてよかった泣
蒼姫
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
