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「Aちゃん…僕はね、誰も間違ってないと思う。誰かを好きになることも、誰かを欲することも、みんな自然と当たり前にあることだから。勿論その選択をした君だって、間違ってないんだよ」
『…っ、』
「ただ、選択をしたからには相応の覚悟が必要だからね。りょうくんを想う気持ちは本物だと思う。だからこそ間違えないで欲しい。今はとしみつのことが気にかかることもあるかもしれない。それでも、いつかは1人だけを見つめる様にならなきゃいけないよ」
視線を逸らさず優しい声色でそう言った彼は、本当に優しい人だと思う。普通自分の友人の彼女が他の人を気に掛けているなんて軽蔑してもおかしくないはずなのに。そう言うと笑って彼は、
「あいつらがいい奴らなのは、僕が嫌ってほどよく知ってるからね」
そう言って笑った。同じように笑っているはずなのに、止め処なく溢れる涙は何の涙なんだろう。浅ましい自分への嫌悪か、はたまた優しい言葉を掛けてくれる虫さんへの感謝か。いずれにせよ私は強く誓わなければならない
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『としくんのことは、ちゃんと整理する。私が好きなのは、りょうくんだから』
「うん」
『…ところで、この話は誰が知ってるの？ゆめくんだけ？』
暗い雰囲気から一転、さらっとそう言った彼女にもう悲しみの表情はなかった。切り替えが早いと言ってしまえば聞こえが悪くなるかもしれないけど、純粋に頭の回転が速くていつまでもくよくよしないタイプなのだと思う。まぁ、そう強く思い込んで無理に吹っ切ろうとしてる節もあるけれど。
「実はてつやも知ってるんだ。ごめんね、本人のいないところでそんな話ししちゃって」
『ううん、私こそ気を遣わせただろうに…2人には今日の事、伝えて貰えるかな？理由がわからないままじゃ、2人も気持ち晴れないと思うし…』
それからは世間話をして、早めに解散をした。帰り道彼女に帰宅する旨を連絡しながら、ふと頭を掠めた事を思い出す。
「…Aちゃん、としみつに好かれてるとは全く考えてなかったんだなぁ。タイミングってやっぱ大事だね、」
もしりょうくんが告白せず先にとしみつが想いを伝えていたら、彼女の隣にいるのはとしみつだったかもしれない。勿論たらればだけど、人生タイミング次第で事がどう転ぶか大きく変わってしまう。何にせよそれぞれが悲しみや苦悩から早く立ち直って、屈託のない笑顔で過ごせる日が来るように祈るばかりだ。
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
