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懐かしい夢を見た。夢の国でプロジェクションマッピングを見ながら当時の彼と誓った永遠。二度と離れないとあの時は疑いもしなかったのに、するりと掌をすり抜けて逆手で掴み直すこともままならない。そうして足元に暗いシミを作って足元がずぶずぶと沈んでいく。沈んでいく身体と意識に必死にもがこうとも抗う事は出来なくて、最後には息が詰まって飛び起きる。
「Aっ？A…！」
『りょ、くん…』
「大丈夫？凄く魘されてたから…」
『…大丈夫。夢見が悪かっただけだから』
背中にも額にもじっとりと汗をかいていて頗る不快だった。それでも心配そうにこちらを見つめて頬を撫でてくれるりょうくんにじんわりと心が温かくなっていくのを感じる。そう、私は知っているのだ。さっきのは私の夢の世界の話で、現実にはこんなに素敵な彼がいる事を。だからあの当時の彼と出掛けた先の景色だってお別れだって今となってはなんの傷にもなっていない事を。それでも私は考えずにはいられない、この夢の彼ががいずれりょうくんになるかもしれないと。
「水持ってこようか、汗かいたろうし…っ」
『…ここにいて、ぎゅってしてて…今はそれ以外何も要らないから』
「…珍しいね。素直に甘えてくるの」
『嫌い？』
「ううん、可愛い。…好きだよ、A」
そっと抱き締められてりょうくんの心臓の鼓動を肌で、鼓膜で感じると安心する。どろどろと身体に巻き付いていていたような重みがゆるゆる落ちていく気がする。胸一杯に息を吸って彼の匂いを感じれば愛しさに溢れて額を胸に擦り寄せれば、頭上でくすくすと笑い声がした。
『なぁに、笑ってるの』
「いやね、いつものしっかり者なAも尊敬するしカッコイイって思うんだけど、こうして子供みたいに甘えてくる所がやっぱり俺は好きだなって思って」
『子供みたいって言わないで…』
「可愛くて、ぐずぐずに甘やかしたくなるんだよなぁ」
『りょうくんこそ、ダメ人間製造機なんじゃない』
「俺は好きな子だけだよ。だから…ずっとこうしててね、出来る事なら俺だけの前で」
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
