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あれから急遽公開する動画を入れ替えて例の一件の説明の動画を差し込んだ。コメント欄は受け入れてるものが大半ではあるけれど、関係を疑ったり彼女の素性を詮索したり批評するものまで出てくる始末。
「…なんであいつがこんな目に合わなきゃいけねーんだ…」
知名度が上がるに連れてプライベートというものが無くなってきた俺らに比べて彼女は一般人だ。個人を特定されることも況してや写真を公開されたりそれを拡散されることだって本来ならあってはならない。それがたかだか俺らと一緒に居るだけで肖像権の侵害をされてしまう世の中は、本当にどうかしてる。
「あいつ…大丈夫かや、」
撮影したその足でAに事情を説明しに行くとりょうは急いで帰って行った。我慢強くて人に弱みを見せようとしない彼女の事だ、きっと強がって大丈夫なフリをするし理解したような顔をするだろう。何かあってからでは本当に遅いというのに。
「でも俺にやれることはないよな…」
取り出したスマホを見つめて、またポケットにしまった。りょうが疎い人間だとは思っていないし、きっと何か変化があれば気付いてやれるとは思う。それでもそんな配慮さえ欺くような彼女の仮面はそう簡単に取り外せるものじゃないことは、少しばかり一緒にいた俺ですら肌で感じたことで。とはいえ自分の出る幕ではないことも重々承知していて、そんな葛藤の中彼女に連絡するという最期の勇気が出なかった。それはきっと自分の中で、彼女への気持ちをまだ整理しきれていなかったから。
そんな俺の糞みたいなプライドなんてへし折って、無理にでも彼女に連絡を取っていれば
俺たちがもっと大人で、力を持っていて、彼女を守る術を持っていれば
こんな結末にはならなかったのかな
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
