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『いつもごめんね、迎えに来てもらって』
「なんで？いいのに」
『いやー、流石に毎度毎度じゃ申し訳なくて。有給発生したら免許取りに行くかなぁ…』
慣れたように助手席に乗り込むと、ハンドルに顎を乗せながらりょうくんがシートベルトを着けるまで待っていてくれる。こうしてどこへ出掛けるでもりょうくんの車で行くことが多くて、毎度の事ながら申し訳なく思う。都心に就職するからって教習所に通わせてくれなかった両親を今になって少しばかり恨む。
「俺は嬉しいけどね、迎えに行けるの。あとはAは助手席に居てくれた方が安心する」
『何それ、運転危なっかしいってこと？』
「なんでそう捉えるかなぁ」
そっと右手を取られたかと思えば、優しい表情をしてこちらを見ているりょうくん。私の指先を弄るように指を絡めたり感触を楽しむように強弱をつけながら握ったり。くすぐったいような恥ずかしいようなそれを何も言わず受け入れていると、我慢出来なかったように吹き出した。
「ねぇ、可愛すぎ」
『何がよー。からかってるでしょ』
「うん。でも黙ってされるがままになってるのも、それでも恥ずかしいの堪えられなくて耳が赤くなってるのも可愛い」
手が離れて頬を撫で、髪を掻き上げられ露わになるそれは、自分で見なくても真っ赤なんだろうと思う。相変わらず勝てないなぁと諦めていると近づく影。ゆっくりと、優しく触れる唇に瞳を閉じると羞恥心より心地よさが勝る。キスが気持ちいいって、変態みたいな思考だなぁ。
「…そういえば、メンバーに俺から報告しちゃったんだけど、ダメだったかな？」
『メンバーって、みんな？』
「うん、今日撮影でみんな揃ってたから丁度いいかなって」
元より知った面子ではあるけれど、それを改めて交際を報告してくれたことが嬉しかったけど、みんななんて思っただろう。一番最初に浮かんだ顔が仏頂面の彼で、かき消すようにりょうくんを振り返る。
『ううん、嬉しい。今度みんなで会う時も、改めて自己紹介させてもらおー』
「バカ弄られると思うけどね」
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
