優しさとギャップ ページ8
Mushimegane×片想い
「君、大丈夫かや?」
『ん、…はい、』
「これ飲みん。少し楽になるから」
私とざわくんの出会いは半年前。友達に無理やり連れて行かれた飲み会に彼がいて、特に気にはならなかったけどお酒が苦手で酔っ払ってしまった私に優しくしてくれた人。ざわくんもてつやくんに無理くり連れて来られたクチらしく、そこから少しずつ仲良くなった。
『ごめん!お待たせっ』
「おーお疲れ。そんな急がんでもよかったのに」
今では時々2人で食事に行ったり、お酒を飲みに行ったりしている仲で、私はすぐにざわくんのことが好きになった。出会った当初ざわくんは彼女さんと別れたばかりで少し落ち込んでいたし、私としてもこの恋は秘めているだけで一緒に居られる時間が幸せだったから、このままでいいかなってそう思ってた。
「どう?最近仕事は順調?」
『年末だから忙しくなってきたかやぁ。ちょっとずつ順調に片付いてきてはいるけど、もう一息だら』
「そっか、頑張ってるね」
『でもざわくんも忙しいでしょ?ありがとね、こうやって時間作ってくれて』
面と向かってお礼を言えば、照れたように毒を吐く彼。誠実で優しくて真面目なのに、感情表現が苦手で不器用っていうギャップ。一つだけ歳上の彼がこんな時は可愛く見えてしまって、素直にそう言ってしまうと絶対に不機嫌になってしまうから口には出せないけれど。
「ホント…Aそういうとこには敵わないというか、なんというか…」
『えへへ、褒められてるー』
「あんまり調子に乗らないの。すぐ本気にする馬鹿な男だっているんだからね、気を付けなよ?」
ざわくんはこうして時々、私を心配する口振りで線引きをする。その度に意識されていないことに少し悲しくなるけれど、そんな気持ちをそっと胸に仕舞って笑うんだ。
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作者名:蒼姫 | 作成日時:2019年10月19日 15時