夢で逢いましょう。 (ページ48)

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届かないページ48

Tetsuya×メンバー片想い

『てつや、そろそろ帰るげ。起きて』

「んぅー…A、」

『ほら、また寝ようとせんで。お水飲む？』

酔っ払ったてつやは昔からタチが悪い。ゲラで煩いしすぐ記憶飛ぶから収集つかないし、こうして眠くなったら起こすのに随分苦労する。当の本人は気持ちよく酔っ払っているから、次会った時にへらりと笑って謝罪を述べるけれど全く反省の色を見せない。

「うあー…飲み過ぎたぁ、」

『毎回そうやん、そろそろ自分の限度学習しりん』

「やっぱAおらんと俺ダメだわぁ、」

じゃあさっさとあんな女忘れて私にすればいいのに。そんな想いは到底口には出せない。長らくこの男と一緒にいるし、女遊びの酷さも一番近くで見てきた。酷い時はてつやの家で鉢合わせて勘違いした女にビンタくらった時だってある。その時ばかりは珍しく怒ったみたいだけど、大抵の場合へらりと笑って謝るばかり。

『私に彼氏出来たらこんな風に付き合ってあげられんのだからね』

「えー、困るぅ…彼氏作らんでよ」

『我儘言うな、自分も面倒見てくれる女作ればいいだら』

口を突いて出てくるのはいつも強がりばかり。こうして自分の気持ちに気付かない振りをするのも大分慣れて最早麻痺してきたように思う。今じゃメンバーだって気付かないのだから、ある意味女優としていけるんじゃ無いかとふざけた考えを始めてすぐ辞めた。

『ちょっと、真っ直ぐ歩いてってば！』

「A～…一緒に寝よ？」

『泊まらせては貰うけど、一緒には寝らんって。冗談でもやめりん、そういうこと言うの』

語気を強めてそう言えば、ふらふら歩いていたのが嘘みたいに真っ直ぐに立ってこちらを見据えるてつや。逸らせない視線に心臓を鷲掴みにされたみたいで、背中を変な冷や汗が伝う。長かったように思えたその一瞬も、すぐに彼がへらりと笑って、

「…ごめん、調子乗った」

そう言って寝室に入っていったところで終わった。