夢で逢いましょう。 (ページ46)

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ともにページ46

Ryo×夫婦

『今日は、どこも寄り道せずに真っ直ぐ帰ってきてね？約束だよ』

朝家を出るときにそうAに念押しをされたにも関わらず、撮影やら片付けやら、ついでにサブちゃんを回し始めたら結構な時間になってしまって、家の鍵を開けたのは日付が変わる五分前。食事の約束ではなかったからご飯も食べずに待ってるなんてことはしてないだろうけど、きっと起きて帰りを待ってるだろうと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいで、帰り道ダッシュでコンビニに寄ってスイーツを買ったのは最早常套手段。

「ただいま。ごめんね、遅くなって」

『あ、おかえり。んーん、大丈夫だよ。遅くまでお疲れ様』

外気で冷たくなった上着のまま抱き締めるのは忍びなかったけれど、彼女は大人しく受け入れてくれる。怒っているわけではなさそうで、そのまま口元に吸い寄せられるように顔を近付ければやんわりと押し返される。あれ、やっぱ怒ってるのかも。

『ふふっ、風邪菌怖いからうがいだけしてきて』

「なんだ、嫌われちゃったかと思った」

『そんなこと、あるわけないでしょ』

「Aもう寝るだけでしょ？俺もシャワーだけ浴びてくるから先にベッド行っててもいいよ？」

うっかり彼女が待っててくれていた用事も忘れてそう言えば、焦ったようにキョロキョロするA。言葉の通り挙動不審。さては何か隠し事をしているらしい、こういう分かりやすいところが昔から可愛くて好きだったりする。

「なーに？どうした？」

『ん、お風呂は後にして、手洗いうがいだけしたら帰ってきて？…大事な話があるから、』

急に声のトーンが下がって、どうしようもなく不安な感情が渦巻く。後ろめたいような事なんだろうか、全く予想はつかない。考えていたって仕方がないから早めに話を聞こうと洗面台に行き、鏡張りの扉を開けると見慣れない青い箱。シルバーのリボンで簡単にラッピングされたそれは縦長でネックレスの箱みたい。さて、これを開けろってことなのかな？それにしても何かの記念日だったろうかと思い返したところで何も思い浮かばなかったから、彼女の思惑に従ってリボンを外した。