検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:63,898 hit

感情 ページ5

Toshimitsu×同棲彼女



『あ、としみつ。おかえり』

「おん、ただいまー」



重たい体を引きずって玄関で靴を脱ぎ、リビングへ通るとエプロン姿で迎えてくれるA。こうして同じ家に帰ってくることは初めてではないはずなのに、疲れた体に彼女の発するおかえりがなんだか沁みて、柄にもなく後ろから抱き締める。



『ふふっ…疲れたでしょ、すぐご飯に出来るけど先にお風呂入ってくる?』

「んー…飯がいい」

『はいはい、じゃあ手洗ってきてね』



きゅっと手先を握られて、離れた体に寂しさを覚えると頬に唇を寄せられる。いつまでも敵わないなぁと思いながら大人しく従って洗面台に手洗いとうがいの為に離れた。ここに越してきてもう1年が経つ。引っ越し祝いにもらったタオルだって今じゃもう古くなってしまっているし、同棲の記念にと彼女に強請られて買ったお揃いのスリッパもどこかくたびれている。



『あ、そうだ。この前旅行行った時の写真現像に行ってきたんよ。私もまだ見てないげ、後で一緒に見よ』

「この間の熱海のやつか」

『そうそう。調子に乗っていっぱい撮っちゃったからえらい量になっちゃった』



そういってローテーブルに食事を並べるAはどこか機嫌がいいようで、いつもより表情が柔らかい。元よりあまり機嫌を損ねる事の方が少ない彼女だけれど、口の悪い俺とは喧嘩の時張り合うかそれ以上に捲したてるほど恐ろしい変貌を遂げる。機会が少ないからこそそれはなかなかに怖いもんで、付き合い始めて3年になるが段々と上手く避けて通れるようにはなってきた。



「お、ハンバーグやん。嬉しい」

『ホント?よかったぁ』

「ありがとな」



最近はなかなか忙しくてゆっくりと2人飯を食う時間も減ってきてしまって、久しぶりの光景に少し申し訳なく思う。大体撮影が遅くまでかかるとメンバーと外で済ませてきてしまうから、きっとAは1人この部屋で飯を食っているんだと思うと、偶には真っ直ぐ家に帰ってこようって気になる。

▽→←▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
107人がお気に入り
設定タグ:東海オンエア , 恋愛 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼姫 | 作成日時:2019年10月19日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。