君と僕と僕らと (ページ41)

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「Aちゃーん！久しぶり！」
『りささん！お久しぶりですっ』
「あー、やっぱり可愛いお持ち帰りしたいっ！今からでも遅くないからうちの子にならない？」
『あははっ！嬉しいお誘いなんですけど、それはうちの子が拗ねちゃうので』
「むっ、言うようになったねー。もうシルクくんとどれくらい付き合ってるんだっけ？」

今日は事務所に1人で行ってのお仕事。久しぶりに単独でのコラボ依頼がきて、それがまさかりささんで緊張よりも嬉しさが勝った。これまでグループとして他の女性YouTuberとコラボすることはあったけどこうして単独でお誘いを受けることはなかなかなくて、内容が内容だけに凄くワクワクしてる。

『もうすぐ1年ですかね。あっという間でした』
「そっかぁ。動画で知った時はなんだか娘がお嫁に行ったお父さんの気分だったよー」
『直接お伝えするのが遅くなって、その節はすみません』
「いーのいーの！それより今日はメイク企画ってことで話は聞いてる？」
『伺ってます！めっちゃ楽しみにしてきました！普段なかなかメイクってまともにしないからよく分からなくて…勉強させてもらいます！』

順調に撮影は進んでいって、鏡の前に映る自分がどんどん変化していく様は本当に見ていて面白かったし、いかに普段から自分が手を抜いていたかを思い知らされた。メンバーの前ではスッピン晒しすぎてて気を遣うことはないけれど、外に出かける時やイベントの時くらいは気にするようにしなければなと反省もした。

『本当にありがとうございました！今日このまま帰ってメンバー驚かせようと思います、ふふっ』
「てかさ、折角ならデートして帰ればいいじゃん！みんなで企画にするより好きな人にドキドキしてもらった方がいいよー！」
『え、でも…』
「どうせなら髪もセットしちゃってさ！あ、衣装も借りてこよー？Aちゃん大変身ドッキリだよ！」

意気揚々と他のスタッフさんに衣装の相談をしてるりささんの表情はそれはもうウキウキしていた。私のことなのに申し訳ないなぁと思いながら、こっそりスマホを開けば事務所まで迎えに来てくれるという連絡が目に付く。誘う手間も省けたと思いもう直ぐ終わると返信した私も、浮き足立っていることは否定できなかった。