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「あのっ…いつも見てます！2人すっごくお似合いだと思います！これからも頑張ってください！」
偶々出先でシルクと二人歩いていると、視聴者さんに出会い声を掛けられた。比較的声を掛けてくれる人の中では以前の公表に対し応援の声を掛けてくれる人がほとんどで、いつも安堵で胸を撫で下ろす。握手と写真撮影を終えて手を振り離れていく視聴者さんを見送りながら、そっと息を吐いた。
『なんか気恥ずかしい…』
「まぁなぁ」
『すっごい他人事みたいー』
「芸能人じゃあるまいし、そこまで見られる意識なくたっていいだろ」
偶にエゴサすると、目撃情報と共に心無い一言が添えられていたり、基本は私単体への非難が目に付くことが多かったりとそれなりに心を傷めることもあるが、隣のこの人はどこ吹く風で前より外で堂々とするようになった。なかなかその辺りの踏ん切りがつかない私はいつまで経っても誰かの目を気にしてしまうし、誰かに対して申し訳ない気持ちが拭えない。
「それとも何か、ウオタミさんに申し訳ない気持ちは俺を好きな気持ちより大きいのか？」
『そんな、こと…』
「俺の気持ちの大きさを見習えぃ！」
そう言って大きく口を開き笑う彼は、さも当たり前の如く私の右手を攫う。当初は周りの目を気にし過ぎて無理にでも振り払おうとしていたけれど、それさえ許さないシルクはずっと私の手を握っていてくれた。きっと家に着くまで離れることのないこの手に、私こそ何にも代え難く手放せないのだという思いを込めて握り返すと、右側少し高い位置で小さな笑みが溢れる音が聞こえた。
「…でもさ、なんかあったら必ず言えよ。常に一緒に居られるわけじゃねぇし、お前が俺の知らないところで傷付いてるのはやだ」
『…シルクってそんな過保護だった？』
「おまっ！人が真面目に心配してる時に…」
『わかってる…ありがと。でもさ、私自身も変わらなきゃいけないって思うの。折角隣を歩くなら、私だって堂々と歩きたい』
「…お前のそういうとこ、偶にホント狡くてかっけーわ。何だよイケメンかよ」
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年7月20日 22時
