君と僕と僕らと (ページ13)

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遠征撮影まで日が迫っている中俺はまだAを迎えに行けずにいた。他のことに追われているといえばそうだが、そんなもの逃げでしかないことは重々承知している。ただ、自分一人で解決させようと頭を働かせたところでその答えにたどり着けないのが現状でとうとう限界を迎えた俺は、撮影に来ていたダホとモトキに助けを求めることにした。

「…だからA見かけなかったんだね」
「今はマサイのとこいる」
「そんなことがあっちゃ気まずいよねぇ」

それはなんだか俺を非難する言葉のようで、まぁ間違いなく悪いのは俺なんだけどもう少し言葉を選ばないものかと苦笑した。そういうとこがモトキの強みでもあるのだけど。

「でも、正直今更感はあるよね。一緒に住み始めてもう一年でしょ？もっと早く二人はどうにかなると思ってた」
「というと？」
「だってA、昔からシルクが好きじゃん」
「は、」
「バカ…」

あいつが俺を好き？いつから、昔からだって？これまでを振り返って、微塵もそんなこと感じなかった。だってそんな感情あれば同居なんて了承しただろうか。ともすればそれは昔だけであって今はそうではないということか。でなければ、俺があんな行動に出て泣いてしまうなんて…

「昔は、だろ。今は違うんじゃねぇか」
「まぁ、元よりAから直接そう聞いたわけじゃなかったけど、そんな話しないからね。Aは隠すのも上手いし、気付いてるメンバーも少ないんじゃないかな」

自分はそんなに鈍感な方ではないと思っていたし、Aをそういう目で見たことがなかったため考えもしなかった。昔から恋愛ごとの話は全く耳にしなかったが、それは俺らに話すまでもないことだと高を括っていたからだ。それがこんな結果で知る羽目になるとは。

「シルクが好きなら、ぶつかればいいんじゃない？くよくよ悩んでるなんてシルクらしくないよ」
「そうそう、正面からぶつかっていけばいいじゃん！Aだったら、ちゃんと受け止めてくれるよ」

正面からぶつかるったってどうしたらいいんだ。相手は幼馴染のような家族のような、仕事仲間だ。現状もそうだが更に悪化するようなことにでもなればグループが崩壊することにも繋がり兼ねない。俺の意思でそんなリスクを冒す様なことは出来ない。二人が帰ってからもぐるぐると考えあぐねていたが、まだ彼女が俺を想ってくれていればいいのになんて安易な考えに陥るほど自分に自信のある人間ではなかったということを俺は自覚した。