もう、知らない。【Satoshi】 (ページ41)

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智くんに部活を辞めることを告げた私。

部活をやめたら智くんに会えなくなる。

だから言いたくなかった。

でもなんにも言わずに智くんの元から離れたくはなかった。

そしたらさ、智くん優しいんだもん。

智｢よかったらさ、俺にAの悩み話してみてよ。｣

まだ出会ったばかりなのにこんなこと言っていいの？
言いたくないよ。

でも智くんの優しさに甘えたっていいよね？
智くんにだからいいよね？

A(ありがとう…)

智くんの優しさが嬉しかった。

同じ経験をして、同じ気持ちを味わって、そして同じ境遇にいる。

そういう人はいっぱいいると思うけど、誰かと辛い気持ちを半分こしてみればちょっと軽くなる。

智くんはそれを気づかせてくれた。

散々心の奥に潜めてたこの苦しさを半分背負ってくれた。

智くん、ありがと。

A｢…じゃあ、アップ行ってくるね。｣

智｢おう、いってら！｣

A｢うん、頑張ってくる！｣

智｢行ってこい｣

笑顔で見送ってくれた智くんのためにも次ベスト出さなきゃ。

A｢よし、頑張ろ！｣

私はスタンドの階段を下り、アップの準備を始めた。