もう、知らない。【Satoshi】 (ページ13)

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智くんは少人数の高校で、部員もそう多くない中の1人らしい。

強豪校でもないし、そんなに有名でもない、ごく普通の高校と言っても過言ではない。

あ、陸上競技に限るけどね？

けれど、本番前の練習投てきからいきなり45ｍ近く飛ばしていた。

私の県のレベルはそんなに高くはないけれど、50ｍ以上飛ばせたら県で入賞はできる。

まだ始めたばっかの智くんは、きっとこれから凄く伸びる選手。

そう確信していた。

審判の旗が上がり、競技がスタートされた。

経験者たちの投てきはやはり距離もフォームも凄い。

私も同じやり投げをやる身としては凄く羨ましかった。

そんな先輩たちの中で、智くんの番が回ってきた。

やりを持った智くんの姿。

キリッとした表情。

あんなに小柄なのに適度に筋肉がついてる。

初めて見るユニフォーム姿に、私は少しドキッとした。

智｢いきまーす！｣

左手を挙げ、右に持つやりを構える。

そして1歩1歩助走を確かめながら進んで。

やりが智くんから放たれた。

全て投げ終わって、結果は3位。

県大会への出場が決まった。