満月に散る・・涙の行方 [完結] (ページ29)

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二十七の巻ページ29

確かにそうだ、と

お丸が逃げようとした時

ru「お丸」

fk「何だい？」

差し出されたのはお丸の簪

ru「勝手に持っていってすまなかった」

fk「以蔵・・」

ru「また会えたら、返そうと思ってた」

お丸は差し出された手に

もう一本の簪も置いた

fk「今度は両方持っていておくれ。これは一緒に持つ物なんだよ。そして、今度会った時に、二つとも返して・・」

ru「お丸・・」

fk「絶対に・・」

ru「・・お丸と過ごした数日が、人生で一番楽しかった。・・ありがとう、お丸」

そう言うと

黒影組の軍団に向かっていく以蔵

お丸は涙ながらに走って逃げた

死なないで、以蔵

そう願いながら

・

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・

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それからしばらく

黒影組の話は出なくなった

どうやら

西の方に住処を変えたと

噂が流れた

リーダーの黒川官兵衛と

新しく組に入ったとてつもなく強い相棒と

また派手に街を荒らしてるらしい

「何か、そいつ、半兵衛って言うらしいですよ！」

新しく岡っ引きになった安兵衛が

新吉と団子を食いながら話してる

iw「官兵衛に半兵衛か。まぁ、この街が平穏なら、それでいい」

新吉が言う

安「そうですね！新吉親分」

fk「ほらほらほら。サボってないで仕事したらどうなんだい？二人とも」

そういうお丸も笑顔だった

ただ一つ・・以蔵の事だけが気がかりだった