十一の巻 ページ13
お丸の団子屋を後にして
お亮はもう少し町を歩く事にした
するとすぐに
「お前ぇ、綺麗な顔してんな?俺達と遊ばないか
い?」
若い輩に腕を掴まれる
ab「離して下さい」
「固ぇ事言うなよ」
力ずくで連れ去ろうとする
「おい、てめぇら!」
そんな男の腕を捻りあげる男
岡っ引きの新吉だ
お亮はホッと胸を撫で下ろした
iw「俺の前で悪さするとはいい度胸だな」
大きな身体に厳つい顔
新吉に睨まれて
輩達は一目散に逃げ出した
iw「大丈夫か?」
ab「はい・・ありがとうございます・・」
iw「あれ?お前ぇさんは・・お亮じゃねぇか?お丸の友達だよな?あ・・今は太夫と呼ばなきゃなんねぇのか」
花魁になる前からお丸と仲の良いお亮は
当然新吉とも顔見知りだ
ab「どうせなら、お亮と呼ばれた方が楽ですわ・・」
iw「でも、何だって、太夫と呼ばれてるようなお前ぇが、一人で町に」
ab「お丸さんに、会いに来たの」
iw「そうかい。でも、本当は駄目なんだろう?送ってくよ」
そう言って歩き出そうとした途端
「盗人ー!そいつを捕まえてくれ!」
そんな声
ab「新吉親分、行って下さい」
iw「でも。あ!目黒!いい所に!すまねぇが、この人を送ってやってくれ!」
そう言い残すと、新吉は盗人を追いかけた
‘めぐろ・・?’
お亮が目をやると
そこにいたのは
ab「蓮様・・」
目黒蓮だった
mm「また、お会い出来ましたね、お亮さん」
ab「そう、ですね」
‘本当は会いたくなかった’
そう思うのに
心臓の鼓動は正直だった
その気持ちは
花魁になって捨てた筈の物だった
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作者名:おまる | 作成日時:2021年5月5日 3時