57 智side ページ9
俺はニノと一緒に競技場の周りを散歩していた。
トラックの方からは相変わらずの応援の声とスターターの鳴る音が響いている。
競技の進行の様子や結果を知らせる放送からは、女子混成競技の開始を知らせるアナウンスが流れた。
和「行かなくていいんですか？」
不意にニノから言われた。
智「んー200見れたらいいかな…」
和「あ、そうですか」
智「ニノが見たかったら行ってもいいけど」
和「俺はいいっす」
智「そか」
ニノは右側の口角を上げて聞いてきた。
和「大野さんが見たいのは競技じゃないですよね？」
智「え？」
和「競技じゃなくて、あの人のことですよね？」
智「…」
へ？
何言ってんだこいつって思ったのは一瞬だけで、なんだか俺の気持ちを見透かされているような気がした。
和「俺分かってるって言ったじゃないですか。」
智「ん、覚えてる。」
和「大野さんってね、俺に核心突かれるとすぐ黙ってちょっとニヤけて鼻の穴ヒクヒクさせるんですよ。」
智「…え、俺そんなことしてんの？」
和「はい、ガッツリ。」
智「ガッツリ…マ、マジか。。」
和「そ。だから大野さんのことイジるのめっちゃ楽しいんですわ」
智「ちょ、これでも一応先輩なんだから俺のことからかうのやめなさいよ」
和「やだねーだ」
智「この野郎」
べーーってアホ面して逃げるもんだから俺ら小学生みたいに追いかけっこしちゃってんじゃんか。。
周りの高校生たちからの視線が痛いんだけど。
智「に、ニノもう勘弁っ」
和「はぁー疲れたー戻りましょ」
智「うん、戻ろ戻ろ」
おっさんですな〜なんてからかわれちゃ、まだ17だわ！って同じツッコミを何度繰り返せば気が済んでくれるんかなーこいつは。
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作者名：はるちゃん x他1人 | 作成日時：2017年11月4日 2時
