もう、知らない。【Satoshi】Part2 (ページ6)

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54 智side ページ6

俺はあいつが高跳びの競技を終えたのを見届けてすぐスタンドを離れた。

Aが終わったあと出口に俺が居たらどれだけキラキラした笑顔を見せて帰ってくるんだろう。

智(…きっと｢頑張ったよ！見ててくれた？｣なんてにこにこしながら走ってくるんだろうな。)

そりゃ俺だってあいつの笑顔に惹かれてないわけじゃない。

むしろずっと見ていたい。
俺だけに見せてもらいたい。

俺にとってちょっと特別な笑顔になっちゃったかもしれない。

ほぼほぼ出会ったばっかの女の子に恋愛感情を抱くような人間じゃない俺だけど、でも今回ばかりはいつもとは違う変な気持ちがある。

きっとあの笑顔のせいだ。

あの笑顔に落とされたんだ。

Aはいい意味で悪いコ。

だから、あの子きっといつも明るくあの笑顔でいろんな人と話してるから好きな子居るんだろうな。

好きな子、居たとしても。

いつかでいいからさ。

智｢俺のこと好きになってくんねーかな。｣

心の声が思わず出てしまった。

智(きっと今好きな人居たとしても俺じゃねーよな。)

恋愛に対して鈍感な俺が姿を現してしまっていた。