ー花火ー 今市隆二 × 登坂広臣

8..隆二side ページ8

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そのまま布団をかけてあげようとした時。


ふわりとした膝丈のスカートから覗く
彼女の両膝。









もしかして昨日のあの時…





そう。
あの部屋に入ってすぐ
玄関で倒れこんでしまった。



酒に酔いながらも
一瞬鈍い痛みを感じ
眠気から呼び戻されたあの瞬間が蘇る。






彼女の両膝は赤みを帯びながら
所々紫色になり痛々しい。







見ず知らずの自分を助けてくれた彼女
に対してのこの仕打ちに対して。


自分に苛立った。








その痛々しい色を隠すように

そのままそっと
布団を彼女に優しくかける。









ふと時間が気になり
自分の腕時計に視線を移すと。







『や、やべ』









集合時間まであと数分。






焦りながらベット脇に置かれた鞄を
ガシッと掴んで。

音を立てないようにしながらも
急いで玄関に向かう。









『あ！鍵…………どうしよ！』






当然自分の部屋でもないから鍵も無い。

起き場所もわからない。








『あ、あった！！』









奇跡的にそれは玄関先の床に無動作に落ちていた。
＿＿＿でも鍵を閉めた所でこの鍵は？









『やばいやばい時間が』







結局おろおろしながら
急いでリビングへ戻る。







おもむろに落ちていたマジックペン。

それを握りしめ、
メモなんて探してる暇もないから
目についた段ボールに急いで文字を並べる。





そして目に付きやすいよう
中央にそっと置いた。

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