山椒は小粒でもピリリと辛い【天童覚】

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懐かしい記憶が蘇った気がした




若と気まずくなって、部活も行けなくて

荒れてた時の苦い記憶




"Aはココロが綺麗だね"




私の今までの人生で


1番私を愛してくれたであろうヒトの記憶




容姿も性格も似ても似つかないけど



すごく、似ていた




天童は私のこと愛してくれるのかな





「目ぇ真っ赤、俺とイッショ」



私の頬に流れる涙を救った天童が

昔私を愛してくれた人と少しだけ重なった



不覚にも、カッコいいと思った





ピロン




鳴ったのは天童のスマホで


彼曰くバレー部のグループトークからで




「今日の部活、体育館点検で休みって

どうする？A」




天童の顔は、口角が上がって


目はわたしを捕らえて離さない


まるで私は狙われた獲物




「何？私を慰めてくれるの？」



狙った獲物が従順でカワイイとは限らない


私がそんないい子なわけがない




天童の首に両腕を回し、自らぐっと近づいた



私も負けじと張り合うあたり


天童の手の上で転がされるわけにはいかない





「俺んち、行こ」




案の定、天童は堕ちた





かつて私を愛した人も、同じ



その当時は私も彼もお互い好き合っていた




今だって、天童のことは嫌いではない



苦手なだけで、むしろ男としては魅力的





「んっ…てんどっ」

「サトリだろっ」




でも、私だって馬鹿じゃない




「覚っ…」


「A、愛してる」




どんだけ抱きしめられたって


どんだけキスをしたって


どんだけ体を重ねたって




別れなんて、一瞬





ほら、もうすぐそこに来てる





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