Half The World Away【シャンクス】 ページ4
「俺さ、この島を出て行こうと思うんだ…！」
隠し切れない興奮が見え隠れする囁き声を聞いても、私は別に驚かなかった。彼はこの島で生きていくには、少しばかり見ている世界が違うことには気が付いていたから。
「そう」
努めて感情を出さないように返した言葉に、あなたは少しだけ不満そうだ。きっと、もっと驚いてくれるんだろう、とか思っていたんだろうな。
「驚かねェの？」
「何となくそんな気はしてたのよ」
「なんだよ、つまんねェの…」
子どもっぽくむくれる顔に、私は少しだけ微笑んだ。
「あなた、顔に出るもの」
そういう私にシャンクスはまた少し頬を膨らませた。が、すぐにぶっと空気を吐き出すと、くるりとこちらを見る。
「…お前はさ、出て行こうなんて思わねェわけ？」
まっすぐな目だ、と思った。だから、彼が私に言いたいことが何となくわかってしまう。生まれたころからの付き合いだからだろうか。
(そりゃ、私だってあなたについて行けたら…って思ってるわ)
私はそっと目をそらした。じっと目を見ていたら、きっとほだされちゃうんだろうな、と思ったから。
「この島はそりゃあ平和でいいとこだとは思うぜ？でも、それだけだ。明日も明後日も、きっと1年後も俺たちの暮らしはなんにも変わらねェ…！」
その声にすがるような調子があるのを、聞き逃すほど鈍くない。私はそれでも気が付かないふりを続けた。
「そりゃ海に出れば怖いもんだってあるかもしれねェけど…！俺達二人ならなんだって─」
「できないわ」
私はそう言って努めて微笑んだ。
私とシャンクスは生まれた時からずっと一緒だった。ずっと一緒だったから、わかる。私と彼とは、見ている世界が…生きる世界が違っているんだ、と。
「私は行かない。あなたが退屈だと思うこの場所が、私は結構好きなの」
それに、この気持ちも嘘じゃない。私はそっと立ち上がり、彼に背を向けた。
「…なあ」
シャンクスの声に足を止める。
「後悔、しないか？」
「…しない」
きっぱりとそう言った。
そう言ったけど、これは嘘。本当はあなたとずっと一緒にいたい。泣いて、すがって、ここにいてと伝えたい。でも、それは出来ない。だって、私達は生きる世界が違うから。
(それでも、きっとこの気持ちは残っちゃうんだろうな…)
背を向けた私の頬に熱いものが伝った。
こうして私の初恋はひっそりと終わりを告げた。
見せたいもの、見たいもの【モンキー・D・ルフィ】※学パロ→←きっかけ【サボ】
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りと(プロフ) - 箱さん» お返事が遅くなってすみません！箱さん、こちらこそ素敵なコメントをありがとうございます。最近なかなかいい作品が出来ていなくて心苦しいところですが、これからも応援していただければ嬉しいです！ (5月15日 1時) (
レス) @page26 id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2023年2月23日 22時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 逆叉さん» 逆叉さん、初めまして！お返事がとんでもなく遅くなってしまい、申し訳ありませんでしたm(__)mリクエスト、承りました！しばらくお時間をいただきますが、よろしくお願いします(^^♪ (2022年11月21日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
逆叉(プロフ) - 初めまして！りとさんの書き方大好きで、気に入ったお話を何度も読み返しています…(*^^*)もしよろしければ、三馬鹿船長のロー、キッド、ルフィで夢主と絡ませて欲しいです！3人では大変でしたら、この中の誰かだけでも大丈夫です！ご検討頂けたら幸いです。 (2022年10月10日 23時) (レス) id: 6858122218 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうなぎ(プロフ) - 本当に素敵な作品でした！ スマートにあれこれと優しく気を回してくれるサンジくんのラストのセリフが「好きだ」と真っ直ぐなのがとてもたまらないです！今回もありがとうございました。 (2022年9月23日 22時) (レス) @page21 id: ca7d16e763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2021年8月13日 2時
