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Six feet under【レオーネ・アバッキオ】 ページ32

私の愛しい人は、私の6フィート下にいる。


 重苦しく垂れ込めた黒い雲から落ちる冷たい雨が、私の髪を濡らす。真っ黒な喪服は濡れて、その黒さが増していた。
 いつも私が彼を見上げていた。オシャレをして、ヒールを履いても、彼の身長を超えることは無かった。そんな私が、今「彼」を見下ろしている。

「…ねぇ、あなたがこんなに簡単に居なくなるなんて、私ちっとも思ってなかったのよ」

 最後は喧嘩別れだった。理由は思い出せない。きっと思い出せないくらいに些細な理由だったんだろう。
 でも、その些細な理由が、彼と私を取り返しもつかないくらいに遠く、離れさせてしまった。

「…あなた、元々無口な人だったけど、こんなに無口だった?」

 最期に彼に触れた時の冷たさを今も覚えている。指先に感じた、温もりを吸い取るような不気味な冷たさだった。氷の冷たさとは違う、あの異様な冷たさは、今も生々しくこの指先に残っている。

「ねぇ、レオーネ。何とか言いなさいよ」

頬を熱いものが伝う。

「…ねぇ」

 雨に濡れた土の匂いが私を包み込んだ。

「私、あなたにすごく酷いことを言ったわよ。でも、こんな風に無視することないじゃあない」

 へたりこんだ私の肩を抱く、あの暖かくて無骨な手はもうどこにもない。

「お願い……もう一度でいいから、罵倒だっていいから……何か言ってよ……」

 冷たく固い石に触れた私の目からは、後から後から涙が溢れる。

(おねがい、私を1人にしないで)

 祈るように私はその場に膝をついた。掘り返され、また戻された土の柔らかな感触を膝に感じた。

(ああ、この下に)

 そっと柔らかな土に触れる。

(この下に、あなたはいる)

 私たちの愛はあなたと共に死に絶えてしまった。あなたの眠る固い箱の中で息絶えてしまった。

「…レオーネ」

 誰もいない墓地の中、私はゆっくりと土の上に身を横たえる。雨に濡れた体は寒さと疲労を訴えるが、もうそんなことは私にはどうだってよかった。

「私、あなたのそばにいたい」

 もっと素直にこう言えていたら、こんな風にはならかったのだろうか。

「あなたのいない世界になんて意味は無いんだもの」

 寒い。でも、この冷たさはあなたと同じ。
 ああ、眠い。寒さで指の感覚どころか手足の感覚すら鈍い。
 でも、なんだか幸せだ。目が覚めたら、あなたにまた会えるかしら。


「私ももう眠るから…貴方と同じ高さに行かせて」

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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時

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