ファミリーネーム【空条承太郎】 ページ19
付き合い始めてもうすぐ3年くらいになる。
「空条くん、コーヒー入れるけど飲む?」
「ん」
「ブラックでいいよね?」
「ああ」
そこまで大きな部屋では無いけれど、2人で暮らし始めた。
空条くんのおじいさんが不動産王と呼ばれるような人だったから、部屋を借りる時は一悶着あったが、『普通』を望む私達の希望で今の部屋を借りた。
お湯を沸かしながら、空条くんの打つキーボードのカタカタという音を聞く。院に進んで博士号をとるという彼は、今日も論文の執筆に追われている。
「…」
静かでゆったりと流れる時間が心地よい。沸いたお湯でインスタントコーヒーを作りながら、私は黙って執筆に勤しむ彼の背中を見つめていた。
「出来たよ」
「ん、ありがとう」
「少し休憩にしない?もう何時間も書き続けてるでしょ?」
「…ん、そうする」
そう言うと、彼は立ち上がってグググ……と背を伸ばした。
「はい、どうぞ」
「すまん」
「いいのよ」
コーヒーを机に置いて、お茶請けにと買ってきたケーキを取り出す。
「甘い物で脳に栄養をあげてね」
「おう」
箱から2つ、チーズケーキを取り出して皿にのせる。
甘いものがそんなに好きではない空条くんは、クリームやチョコよりもこちらの方がいい…と気がついたのは、付き合い始めて半年くらいだったと思う。懐かしいな、と思いつつ、熱いコーヒーに口をつけた。
「もうすぐ3年目記念日だね」
「そうだな」
空条くんは小さく頷いて、綺麗なグリーンの瞳をこちらに向けた。
「…どこか行きたいところはあるか?」
「えっ……いいよいいよ、今忙しいでしょ?丸一日潰れるかもしれないよ?」
「1日、2日くらいなら特に問題はねェ。お前の行きたいところに連れて行ってやりたいんだ」
「そう……ありがとう、空条くん。」
どこに行こうかな、なんてことを考える。
彼が好きな海に行ってもいい。水族館も楽しいだろう。
そんなことを考えていると、空条くんが少し不満そうに私の顔を見つめているのに気がついた。
「…?どうしたの、空条くん。ケーキ、美味しくなかった?」
「いや」
そうじゃねぇんだ、と空条くんは横に首を振った。
「お前、いつまで俺を空条くんって呼ぶんだ?」
「え?」
「色々面倒だろう、お前も」
「…?」
首をかしげる私に、やれやれ…と空条くんは肩を竦め、少し口角を上げた。
「俺と結婚したら、お前も空条になるだろうが」
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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時