大人【シルバーズ･レイリー】 ページ48
未熟な恋だった。
「レイリーさん」
彼の名前を呼ぶと、私よりもずっと年上の彼が振り返った。そして、私の姿をみとめると困ったように苦笑する。
「また来たのか？仕方の無い子だな…」
「…仕方の無い子なんです、私」
「それはそれは…参ったな」
からかうようにそう言うと、彼は「おいで」と私をいつもの場所に連れていく。小さなテーブルと椅子が二脚外に置かれている場所、そこが私と彼の話す場所だ。室内に入れてくれないのは、きっと彼の気持ちの表れなのだろう、
「いつも言っているが、こんな悪人に会いに来るのはもうやめておきなさい。君まで犯罪者予備軍扱いされるのはしのびない」
私はいつも通り頷かない。そんな私に、レイリーさんはまた困ったように苦笑するのだった。
「君はまだ若い。こんなジジイを相手にするより同世代と遊び回る方が楽しいだろう？」
その問いに私は首を振った。
「レイリーさんといる方が楽しいもの…」
私の言葉にレイリーさんは「若いなぁ」と呟いて微笑んだ。 その態度に自分が彼と同じ場所に立てていないことがわかって、少し悲しくて、ちょっと悔しい。
「だって…レイリーさんは色んなことを知ってるし、くだらないことでゲラゲラ笑ったりしない」
「それは単純にわたしが年寄りなりに経験を積んでる、それだけの話だ」
彼は優しく、だが、キッパリとそう言った。それがなんともやり切れない。思いの深さが伝わらぬもどかしさに呻く私に、レイリーさんは優しく言った。
「君がわたしを好きだと思う感情は、単にわたしが君よりものを知っている、その事からくる気の迷いのようなものなんだ。君のそれは、恋じゃないんだ」
私は彼の言葉が一瞬理解できなかった。
この好きは、恋ではないというのか。
戸惑う私に、彼は「今日はもう帰りなさい」と促した。私は立ち上がり、レイリーさんに見送られ帰路についた。
その時になってやっと涙が出た。
あれから、もう10年が経つ。
大人になった私は、たまにあの日のレイリーさんの言葉を思い出す。もう、彼の言葉の意味がわかる歳になった。
(今思えば、本当にいい迷惑だっただろうな…)
下手すれば孫ほどの歳の子供に恋愛感情をぶつけられることの面倒さが、今は想像できる。
(いい迷惑だっただろうけど…私は…)
あの時彼が言っていた言葉の意味を理解して、分かった。
あの時、彼が気の迷いと言ったあの感情は、確かに恋だったのだ、と。
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
