優しい人【サンジ】 ページ3
優しい貴方だから。
夜、喉の乾きで目が覚めた私は船のキッチンにいた。誰もいないと思って足を踏み入れると、微かに誰かの息遣いが聞こえてくる。
｢…誰？｣
息遣いの主は動く様子はなく、規則正しいすぅすぅという音だけが聞こえている。
｢もしかして…誰か寝ているの？｣
こんな時間にここで寝ている人間は一人しかいない。
｢…サンジさん、いるの？｣
僅かな月明かりに目を凝らすと、確かにサンジさんがいた。机に突っ伏して寝ているようだ。
(電気をつけたら、起こしちゃうわよね)
だが、この明かりでは何かにつまづいて転んだりするかもしれない。記憶を頼りに、キッチンの棚に触れる。
(あった！)
手に触れたのは蝋燭の刺さった燭台だった。マッチ箱もそばにある。
マッチをすると、ぽぅと優しい橙色の火が灯った。これくらいの明かりなら、相手を起こさずに済むはずだ．蝋燭に火を移して、私は足音を潜めて流しに向かった。
｢…い、やだ……｣
｢えっ…！？｣
起こしてしまったかと振り返ったが、そうではないらしい。
｢…サンジさん？｣
おずおずと近づいて、思わず足が止まった。
(泣いてる、のね)
サンジさんの目からツゥと落ちていったそれを見て、私は酷く悲しくなった。私は彼の過去を知っている。いや、能力で『視て』しまった。
｢…サンジさん、大丈夫｣
そっと私は彼の目元を拭った。
｢悪い夢を見てるだけ…｣
私は燭台をテーブルの上に置くと、そっとサンジさんの背中をさすった。今の私に出来ることなんてこれくらいだ。
｢貴方を傷つける人なんて、ここにはいないから…｣
聞こえていない言葉を何度も呟き続ける。優しい貴方の事だから、誰にも弱音をはかないんだろう。
誰にも心配をかけないように。
自分の過去の因縁で誰かが傷つかないように。
それが悲しくて、私は胸がいっぱいになった。
私は貴方に救われた。貴方が私を『綺麗だ』と言ってくれたから、私は私を好きになれた。
ぽとりと涙が落ちる。
｢！｣
パッと貴方が目を開けた。
｢なッ、Aさん！？なんで泣いて──え？｣
慌てふためくサンジさんに、私は小さく首を横に振ると、彼を強く抱き締めた。
｢…少しだけ、こうさせて下さい｣
｢…わかった｣
私はおずおずと回された腕の中で祈った。
貴方を包み込む全てが、貴方に優しくありますように。
呪い【イチジ】 リクエスト･まっちゃチャンネルさん→←その強引さも【ロロノア・ゾロ】
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
