出来るもんなら【マルコ】 リクエスト・オタンコナスさん ページ12
出来るもんなら。
「マルコ」
優しい声に顔を上げると、そこにはAがいた。月の光を浴びて、哀しげな笑顔を浮かべている。
「なんだよぃ…急に話って…」
Aは、俺達のよく立ち寄る島の娘だった。気立てが良く、美人で、努力家。島一番と謳われるいい女だ。
そんな女に惹かれないはずが無かった。海賊らしくもなく、俺はそいつに本気で恋をしていた。
「うん、来てくれてありがとね」
「気にするなよぃ」
「マルコ、あのね…」
Aは胸が締め付けられるような笑顔で微笑んだ。
「私、結婚するの」
知っていた。村の奴らから話は聞いていた。だから、俺はこいつへの気持ちを諦めたんだ。
「島一番の、お金持の息子と」
「あァ…あいつか…」
その男は、よく出来た男だ。きっとAを幸せにしてやれるだろう。
「良かったねぃ…」
「…うん…そう、だね」
Aが俯く。
「…A？」
「でも……そんな事、言って欲しかった訳じゃないの」
Aは自嘲するような笑顔を俺に向けた。
「…！」
なんでそんな泣きそうな顔で俺を見る。
なんで、そんなことを言う。
「…ごめん、変な事言ったわ」
「…」
「きっと結婚前の不安で…おかしくなっちゃったの」
そうだ、と認めるのがきっと最良の選択だ。あいつなら確実にお前を幸せにしてくれる。俺なんかよりもずっとマシだ。
なのに。
なのに、俺はどうしてAの手を取っているのだろう。
「…出来るもんなら…」
「え…」
「出来るもんなら、俺はお前を連れていっちまいてぇんだよぃ…！」
初めてこんなに愛しいと思った。
初めて遊びで終わらせたくないと思った。
「お前と一緒にいたいし、お前を攫っちまえたらって何度も何度も考えてたんだ…」
お前を誰かに取られたくない。だけど、それは…俺のわがままだ。
「だけど…俺ァ海賊だ」
「なら…」
Aの手がギュッと俺の手を握り返す。
「なら、海賊らしく私を攫ってよ…！」
「！」
「私の幸せとか、そんな事はどうでもいいって…私を連れて行ってよ…！！」
そう言って、涙を落とすAの手をそっと引く。
(なんだ、全部自分の独りよがりなんかじゃなかった)
そうわかった今、もうためらうことは無い。
「…後悔、するなよぃ」
その日、島一番のいい女は消えた。
青い鳥に攫われた、という噂だけを残して。
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
