Wildest dream【X・ドレーク】 ページ46
私を忘れないと言って。
いつかはこうなる、そんな気はしていた。そして、貴方が普通の人と同じように生きていくことを、この世界はきっと許さないだろうこともわかっている。
「もう出発するの？」
そう問いかけた私は、夕日に照らされる貴方を見つめていた。海軍基地からは離れ、地元の人もほとんど知らないその入江には、今は私達しかいない。
「…ああ、世話をかけたな」
そう言って、彼は静かに微笑んだ。その微笑みを、これからはきっともう見ることはないのだろう。そう思うと、キリキリと胸が痛んだ。
(彼は覚悟を決めた…私だって、覚悟してきたはずでしょ…)
彼が「海軍から離れる」と言った時、私は正直かなり驚いた。彼ほど海軍という職務に忠実だった男はいないし、そのまっすぐな正義は多くの部下から信頼される礎になっていた。その彼が、今海軍から離れようとしている。
「ドレーク、あえてあなたにどうして海軍を離れるのか事情を聞く気はない。だけど、餞別くらいはもらえない？」
「…」
ドレークの顔が曇る。
「だめ、か」
私はちょっと微笑んだ。
「…すまん」
「いいのよ、あなたなりに考えがあってのことだと思うから。私こそワガママを言ったわ、ごめんなさい」
私はそう言って、潤んだ瞳を隠そうと夕日に視線を向けた。燃えるようなオレンジ色が好きだ。だけど、今はそれを見ても心は癒せない。
(仕方ないわ。脱走兵の持ち物をずっと持っていれば、怪しまれる。そうなれば、一際規律の厳しいこの島の海軍では、キツイ軍法会議にかけられてしまうかもしれないし)
私はちょっと目元を拭うと、もう一度あなたを見た。いつも通りの毅然とした態度なら素直に別れられた、とそう思う。
「…よしてよ、ドレーク。そんな顔しないで」
悲し気な目をした彼に、私は微笑んだ。
「…最後にひとつだけ、お願いを聞いてくれれば、それでいいから」
「何だ？」
食い気味にそう答えた彼に、私はめいっぱい美しく微笑んだ。そっと海軍のコートを脱ぐと、真っ白なドレスが広がった。ドレークがはっと息を吞むのが分かった。
「今の、この美しい私を…海軍少将としてのAではなく、貴方の彼女であったAの姿を、覚えていて。どうか、忘れないで」
精一杯微笑んでいるけど、私の目からは次々と涙があふれる。
「そして、いつか…もう一度、会えると言って」
それが、見果てぬ夢の先でも構わないから。
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
