[1]矢野健太×彼女 ６ ページ4
ふわふわと心地よい感触…、
外から入る光が暖かくて…少し眩しい。
健｢ん…｣
ころん、と寝返りをうつと
さっきまであったぬくもりが少しずつなくなってきて、俺は思わずそこをぎゅっと握った…。
健｢A…｣
愛しい人の名前を呼ぶと
ふと気付く、甘い香り…。
健｢A…どこ…、？｣
あ｢あ、健太起きた？｣
声がする方へと向き直り、重い瞼をゆっくり開く…
健｢…今何時、｣
あ｢もう11時だよ｣
健｢…腹減った｣
あ｢朝ごはん作っておいたよ、食べる？｣
健｢んー…もうちょっと、後で…｣
そう言って、俺は再び布団を被った…。
ベットの端ではAが呆れたように眉を八の字にして笑う…。
あ｢歌のおにーさんが子供より寝坊してどうするの(笑)｣
健｢うっせぇなぁー…今日は休みだからいいんだよ…｣
あ｢でも朝ごはん冷めちゃうよ？｣
健｢……｣
.
.
.
.
まだ完全には開かない瞼を擦りながらもゆっくり開くと、目の前のテーブルには二人分のホットケーキとコーヒーが置かれていた…。
健｢あ、これか…、｣
さっき鼻を掠めた甘い匂いの正体はどうやらホットケーキだったらしい…。
あ｢久しぶりに食べたくなっちゃってさ、｣
そう言ってAはメープルシロップのたっぷりかかったホットケーキを嬉しそうに口に運んでいく…。
俺も同じように、大きめに切ったホットケーキをゆっくりと食べ進めた…。
.
.
何回かホットケーキを飲み込んだ時、俺はふとAから注がれた視線に気づく
健｢…何、？｣
あ｢いや…なんか健太って子供みたいだなぁって｣
目を細めて俺を見るAは
ふわっとしたホットケーキみたいにあったかく、優しい表情を浮かべていた…。
健｢…ガキと一緒にすんな、｣
あ｢ふふっ｣
思わず恥ずかしくなって、ムッとした表情で言い返してしまう…。
そんな俺を、Aはお見通しというｶﾝｼﾞで見つめるから
.
あ｢…!、//｣
グッと抱き寄せ、唇を塞いだ…。
.
健｢…Aの方がずっと子供だよ、｣
あ｢なっ…//｣
.
いきなりのことに驚いて口をパクパクさせるAに
俺はもう一度
ちょっと甘い唇を、今度は深く重ねた…。
.
fin.
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作者名：智美
