最後まで一緒にーPart2ー (ページ39)

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83話ページ39

翔side

最後にみんなのまともな顔見たのいつだろ。

葬式中にふと思ったこと。

ここ最近は泣きはらした充血した目の顔しか見ていない。

ただ1人を除いては。

その1人は意外にもリーダーだった。

嵐の中では彼と並ぶくらい涙もろいはずだ。

なのに葬式の相談もまともに話し合いができなかった俺らの代表として、リーダーを中心に決まった。

俺がそのことについて「任せっきりにしてごめん。」って謝った時、

智「大丈夫だよ。俺、リーダーだしさ。」

いつものふにゃんとした笑顔ではなかったけど、雰囲気はいつもの智くんだった。

いつも楽屋でゲームしてたニノも、体動かしたりお喋りしたり常に何かしてた相葉くんも抜け殻みたいにぼーっとしてたり。

彼がいなくなった嵐は光を失ったみたいだ。

彼が亡くなった翌朝の新聞には大々的にこのことが知らされた。

ニュースやバラエティでも。

もちろん、SNSでも。

世の中の話題は彼で埋め尽くされていた。

ニュースでは何度もドラマの最後の彼のシーンが流された。

俺らにはそれが今は辛かった。

彼の死を受け止める時間が欲しかったんだ…。

親族や関係者のみのお葬式は無事終わり、彼の体は火葬された。

その翌日、ファンのみんなや報道陣の立ち入りを許可した壮大なお葬式が国立競技場で行われた。

午前、午後二部に分けたがスタンド、アリーナは全ての席が埋まり、会場の外も人で溢れていた。

スムーズに式も進み、午後の最後の終わりを迎える頃智くんがみんなの前に立った。

これはシナリオにないことだった。

当初のならここで彼の思いをスクリーンに流すはずだった。

智「皆様、本日は足を運んでいただき誠にありがとうございます。当初の予定では親族や関係者のみのお葬式の予定でしたが彼の意思によりこのような壮大な式を開かせていただきました。彼は自分がいなくなった後も、これまで通りのいつも通りの嵐でいることを望んでいました。でもすぐには俺らもいつも通りには戻れません。それだけ彼の存在は大きいのです。彼はいつでも自分よりも他の人のことでした。そんな彼が唯一譲らなかった事、それは『笑顔を絶やさないで』でした。でも俺らはここ数日彼との約束を破ってしまいました。」

智くんが目線を下に下げる。

キラッと一粒の涙が溢れる。

そんな智くんを見た俺らも涙が溢れる。

智「先に俺らとさよならしといて、泣かないでなんて言うなよ！無理だよ…。やっぱ悲しいよ！」

それは久しぶりに聞いた智くんの本音だった。