シルヴァ家次女は、もうひとりのおちこぼれ。【ブラクロ】 (ページ42)

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もうひとりの　３７ページ42

団長室から出て、ルノアを呼ぶ。
　

『で、本当に行くんですか？』
　

ルノア「行くわよ！
だって一言言ってやらなきゃ気が済まないんだから！！」
　

『そういわれても…。』
　

仕方なく「こっち！」と私を先導するルノアについていく。
　

　

『ユノさん。』
　

ユノ「！A先輩…。」

『あぁ、光の精霊であるルノアです。』

ユノ「ベルと喧嘩してるみたいですけど…。」
　

『ほっといて大丈夫ですよ。
私達は私達でお話ししません？』

ユノ「！はい。」
　
ベンチへ案内してもらう。

『わぁ、このお菓子美味しいですね。』
　
ユノ「昨日買ってきたんです。」

『そうなんですね。
…ユノさんは、どうして魔法帝になりたいんですか？』

以前聞いた夢の話。

それを思い出して思ったのが、
“そう思い始めた理由”。
　

ユノ「オレ…昔はよく泣いてたんです。」
　

『そうなの？』
　

ユノ「はい。だけど、捨て子ばかりを集めた教会で
シスターや繋がっていないきょうだい達と暮らしてたんです」

　
『確か、アスタさんも一緒だったんですよね？』

ユノ「そうです。
…オレが“魔法帝になる”っていう夢を持ったのは

このペンダントが盗られてしまって、
アスタが何も考えずに突っ込んでいって…助けてくれた時からです。」
　

『・・・』

やっぱり幼少期から変わらないんだ。
　

ユノ「オレは、いつか必ず魔法帝になって、皆を“幸せ”にするんです。」

　

『！』

　

ユノ「誰に笑われても、否定されても構いません。
オレはアスタを抑えて魔法帝になります。」
　
　

強い意志。
…かっこいいな。

『今まで誰に否定され、馬鹿にされてきたのか私は知らないけれど…』

　

ユノ「？」
　

『私は応援しますよ。
…ユノさん、私は貴方なら魔法帝になれると思います。
　

まだまだ“実績”が足りませんがね(笑)』
　

ユノ「！ありがとうございます」
　

『ふふ。
…さて、私はそろそろ帰ります』
　

ユノ「あの」
　

『？』
　

ユノ「オレの事、“さん”付で呼ぶんじゃなくて…呼び捨てで呼んでください。」
　

『…じゃあ、くん付で。
ではまた。ユノくん？』ﾆｺ
　

ユノ「Aさん…」
　

『ふふっ。
そろそろ任務です。そのまま行きますよ』
　

ルノア「やだー！ベルこんにゃろ～！！！」

ベル「うるっさいわねバカルノア！！
早く行きなさいよ！！」

ルノア「ふんっ！」