シルヴァ家次女は、もうひとりのおちこぼれ。【ブラクロ】 (ページ12)

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もうひとりの　１０ページ12

入ってきたのは、金色の夜明けの副団長、
ランギルス・ヴォードさん。
　

私の３年先輩だけど、彼も貴族という身分なので
パーティーや普段の交流で会っていた…本来は。
　

でも、生憎私はおちこぼれ。
パーティーに参加することは少なく、庭で待機していたら
たまたま迷っていた彼と出会った。
　

…その時は、てっきり年下だと思った。
　

『心配してくれてたんですか？』

　
ラン「魔力消費、さっきの魔法すごかったでしょ。」

『！』
　

ラン「持病もあるんだから、もっとしっかりしてよね。」

　
『すみません。』
　

ラン「無事ならいいけど」

　

…この人は、世に言う“ツンデレ”だろう。
友達という友達がいないから、本での知識しかないけれど。

『報告はしたんですか』
　

ラン「団長が行った。」

　

『ヴァンジャンス団長が…。』
　

ラン「だから僕はただの非番団員。
…暇だったから、来てあげたの。」
　

『あらあら。ありがとうございます。』
　

ラン「…聞いたよ。この前凄い事言ったんだってね」
　

『“凄い事”ですか？
・・・え、私が？』

ラン「お姉さんのネブラ様とお兄さんのソリド様に。」

　

＿『別にどうも思ってません。

　私はそれぞれが、身分を考えずに平和に暮らしていたいと思うのです。

　故に、誰が魔法帝を目指そうが、
　誰が捕まろうが、関係ありません。』＿

『あぁ…。
少しだけ本音を話しただけですよ。』
　

ラン「何かあれば聞いてあげるから。」
　

『優しいですね、貴方は。』
　

ラン「…A。」
　

『何でしょう？』

ラン「Aは僕の事なんて呼んでる？」

『・・・“あの”“すみません”“貴方”…ですね。』
　

見事に名前呼びしてない～。
名字すらも言ってない～！！！
　

『ななっ、何て呼べばいいですか？』

　

ラン「？普通に“ランギルス”でいいけど」

『らっ…』

ラン「ｼﾞｰ」
　

『ランギルス…さん。』

ラン「それでもいいけど、
“さん”はやめて。申し訳ない。」
　

『じゃあ、“くん”はどうですか？
私はそもそも友達とか作れなかったので‥‥。』
　

ラン「え、可哀そう‥‥。」
　

『何です、その目は！』
　

ラン「じゃあ、僕が友達になってあげようか？」
　

上から目線…！！
まぁ、ら…ランギルス、くん…の方が、
年上だし、一応上官だからな。
　

『お願いしますっ！
わぁ～、友達って何するんでしょうかね？』

　

ラン「さぁ。」