・ ページ15
Aside
キツく締め付けられた帯。お腹に余裕はあるものの違和感が半端じゃない。
コツコツと音を鳴らす下駄。靴擦れしないか心配だ。
多少のおめかし。いつもの自分と違うような気がしてなんとも言えない顔になる。
ここまで自分が気合いを入れてる理由もよく分からない。
ただちょっと可愛くなりたいのだって、女の子の性だし?
こういう特別な日に自分を変えたい時だってある。
ただ特別な意味は無い___なのに。
胸が、ザワザワしている。
落ち着かない、早く祭りに行きたい。
早く、約束の時間にならないかな、なんて。
自分が慌ただしいのはいつもだけど、何だかそうじゃないような気もして。
集合までの時間、気を紛らわせるためにただただスマホを触っていた。
・
「お、おまたせ…………」
何だかんだ下駄に履き慣れてなく、ゆっくりと待ち合わせ場所に向かっていたら時間より4、5分ほど遅刻してしまった。
既に待っていたきんときに声を掛けると彼もまた浴衣姿でとても格好良かった。
「待った、よね。ごめん!」
kn「全然。別に俺も今来たところだから」
首筋や額に少し汗が滲み出てるのが見えて絶対待たせてしまったと申し訳なくなるし、その分きんときも楽しみにしてくれてたのかな、なんて自惚れてしまいそうになる。
それでも私の姿を見て少しでも動揺してくれればいいのに。とか。
“ あの言葉 ” を掛けてくれたら___なんてね。
kn「Aも浴衣だったんだ。いいね」
「……本当?私、どう?例えば、か、かわ………………」
kn「あー…………言って欲しい?」
そう言って私の顔を覗き込んで笑ってくる。
絶対楽しんやがる。またからかってきてるぞこやつ。
言って欲しい___なんて素直に言える筈もない。
言ったら最後、恥ずかしすぎてきんときの顔を一切見られなくなってしまいそうだから。
あーあ。途中までだとしても言わなければ良かった。
実際言ってくれないし。と、後悔していたその時。
kn「__…………可愛い、けど?Aは」
「…………………………えぇええええっっ!?」
まさか言ってくれるとは思わなく、不意打ちを受け驚きもそうだが口が閉じなくなった。
熱く真っ赤になった顔はいよいよ誰にも見せられなくて手で覆った。
心臓がバクバクと音を立てるのは、異性からの「可愛い」に耐性がないからに決まってる。
194人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさちゃ(プロフ) - mekanさん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けて本当に嬉しいしとても光栄です!!これからも応援よろしくお願いします!!!笑 (3月26日 8時) (レス) id: 1f3f4e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
mekan - コメント失礼します!!めちゃくちゃ面白いです!!一つ一つの言葉がうまく表現されていて続きが気になりまくりました!!Nakamu さんのお話も頑張ってください!! (3月20日 19時) (レス) @page20 id: facc464c1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うさちゃ | 作成日時:2023年7月27日 12時