【WT】水色に包まれたくて【na】 (ページ7)

今日:4 hit、昨日:24 hit、合計:6,698 hit

6、愛おしくページ7

Aside

心苦しい場所への滞在を乗り越え日が落ち始める頃がようやく心を落ち着かせることが出来る
だから夕日は好きだ、身も心も許されるようなちょうどいいくらいの明かりが灯されるから
そしてそれのもう1つの理由の場所の正面に立って思わず笑みが零れる

？「いらっしゃいませ……あ、Aちゃんじゃん。いらっしゃい」

カランと心地よいベルの音と共に迎え入れられたそれ
最寄り駅から徒歩五分くらいで着ける路地裏のちょっとしたお洒落カフェだ
カラフルな色付けガラスが壁全体に張ってあるような外装に外からでも漂う美味しい香りは鼻も目も引き付け自然と足を運ばせてしまう他ないだろう

お店の中に入るとバイトの子＿＿＿シャークんが「いらっしゃい」と出迎えてくれる
シャークんの他にも、きりやん君やぶるーく君といった私と同じくらいの年齢の男子高校生が此処で一生懸命働いているのだ
そんな親しみやすくドリンクも美味しいこのお店が行きつけで大好きだった

sha「今日も来たんだな。えっと……そこの席空いてる」

やる事も無いから、そう苦笑しながら言うとシャークんも肩を竦める
悪意は無かった、と焦る彼が面白おかしくて苦笑から微笑みに変えられた

サービス精神旺盛な店員さん達、大好きだからこそ此処に意地汚くしがみついてしまうけれど

sha「今日もゆっくりしてってね。いつものでいい？」

「うん。お願い」

OKと言うかのようなグーサインが飛び出すと私もグーサインで返事を返す
その様子がとても楽しくて、愛しくて
＿＿＿そう、愛しくなってしまったのだ

唯一心を許される場所、例え許しても咎められない場所
自分の弱さに目を瞑ったとしても誰にも怒られない
だから堕ちていく、ここに縋ってしまう

暫く待っているとエプロン姿で運ばれてきたのはメニューには無い私だけの特別なもの

sha「お待たせ」

「ありがとう」

sha「いーよ。……あ、ちょっと待ってて」

するとシャークんは急いで関係者以外立ち入り禁止の場所に入っていった
ほんの数分間をそわそわしながら待ち、姿が出てきたら私服になっていた

sha「今そんな混んでないし、店長から休憩貰ってきた」

「え、わざわざそんな……」

sha「いーの。俺がAちゃんと喋りたかったから」

ニコッ、よりニカッという擬音の方が彼にはお似合いのような眩しい笑顔だった
こういう所、シャークんモテそうだなぁと思ったりもしたのは内緒