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智 「Aちゃんもお腹空いたでしょ〜？」
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智 「…でもこれまだ、あちぃからなぁ」
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『あ、そうだ！』
大野先輩は何かを思いついたかのようにたこ焼きを口に近づけるとふーふー、って。
え…これってもしかして？
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智 「…はい」
笑顔で私に向けられたそれ。
やっぱり、もしかしてのもしかして…？
よく分からないけどこれって恋人同士でよくやるあーんってやつ、だよね？
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智 「何回もふーってしたから冷めてると思うよ」
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みるみる自分の体温が高くなっていく。
だって大野先輩がふーってしたものを私が食べるってことでしょう？
そんなの恥かしくてとてもじゃないけど…
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智 「アレ？食べないのぉ？」
あ 「…え、と」
智 「このたこ焼きすっごく美味しいよ？」
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駄目だ。大野先輩にこんなに満面の笑みで微笑まれたら勝てない。
でも、恋人同士でもないのにこんなことしちゃって良いのかなぁ…？
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あ 「じゃあ、…いただきます」
こればっかりは大野先輩に降参だ。
智 「はい、あーん」
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ほんの一瞬だけど近くなる大野先輩との距離。
わずかな距離だからか肌まで繊細に見える。
不思議。…いつも食べるたこ焼きより数倍美味しく感じる。
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智 「美味しい？」
あ 「…はい。すっごく」
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これも大野先輩の魔法、なのかな？
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大宮華花
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作者名：大宮華花
| 作者ホームページ：http://s.ameblo.jp/nino1206smile/
作成日時：2020年5月3日 19時
