触れられそうで、けど儚くて【Satoshi】 (ページ24)

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それから一か月間。

時間が許す限り放課後、誰にもバレないように屋上で会う日々が続いた。

一か月という月日は不思議と私達の距離を近くして行った。

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智「…うわぁ。この写真すっごくいいね！」

あ「本当ですか？

でも大野先輩好きそうだなぁって思いました」

智「うん、正解」

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私の写真を見たい、と言ってくれた大野先輩のために

何枚も撮溜めして厳選した写真を見せる。

そしたら大野先輩はすっごく喜んでくれる。

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その後は、ベンチに座ってふたり

他愛もない話で盛り上がって、時には愚痴を聞いたり、もらったり…

この時間がとてつもなく幸せだった。

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一か月間もこの毎日が続くと、どうしても心に引っかかることがあった。

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大野先輩は…私のことどう思ってるんだろう、って。

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あ「大野先輩！」

今日も放課後。いつものように大野先輩と会う。

そしたら大野先輩は笑顔で迎えてくれる。

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大野先輩は私のことどう思ってるんですか？

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本当はそう聞きたいよ。

だけどそんなことを聞いて面倒くさい後輩だと思われたくない。

だからこの気持ちは心の奥底にしまっておく。

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智「今日来るの早くない？…いつも、もうちょい遅いのに」

あ「…今日、松本先生の話が短かったから」

智「ああ、松もっちゃん。アイツ、結構話長いからねぇ」

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デッサンの絵と向き合いながら、ンフフ…って微笑んだ。

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本当は大野先輩に会いたかったから

早めに話切り上げて来ました。

…なんて口が裂けても絶対に言えない。

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