触れられそうで、けど儚くて【Satoshi】 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:81,930 hit

13 ページ14

.

…大野先輩ともう話すことさえ出来なくなっちゃうんだ。

だったらせめて今までみたいに影から先輩のこと見てたかった。

終わっちゃったんだ、私の『初恋』は。

.

そんなこと考えてたらあっという間に授業は終わってお昼の時間になった。

いつもならペコペコなのになんか今日は全然…お腹空いてない。

咲「A。お弁当食べよう～！」

あ「…うん」

.

でも、こんなニコニコな咲菜ちゃん見てたら

そんなこと言えるはずも…ない。

.

すると咲菜ちゃんは私の顔を覗き込んで

『もしかして～』と顔の周りを指さした。

.

咲「まだ大野先輩のこと引きずってる？」

あ「…な、な訳」

咲「顔見てればすぐに分かるよ。…もうしょうがないんだからぁ」

.

ハア…とため息をついた咲菜ちゃん。

その優しい言葉に思わず本音が出てしまう。

.

あ「…やっぱり咲菜ちゃんには分かっちゃうよね」

咲「当たり前！何年親友やってると思ってんの？」

.

咲菜ちゃんには何でもお見通しだね。

大野先輩によく思われなくても私はやっぱり大野先輩が『好き』。

たとえ追いかけられなくても。

.

.

翔「咲菜」

その時。教室のドアからふと翔先輩の声がした。

.