触れられそうで、けど儚くて【Satoshi】 (ページ12)

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11 a year ago《一年前》ページ12

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どうしよう…きっとさっきのストーカーだ。

どんなに助けを呼ぼうと思ってもあまりの恐怖でとてもじゃないけど声が出ない。

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『はい、いい子にしててね～』

なんて軽々しく肩を触られるとふふッ…って奇妙に笑ってる。

『静かにしてりゃ悪いようにはしないからさぁ』

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怖い、どうしよう誰か助けて…

絶望と不安の中、声が出ない代わりに

すがる思いで精一杯身体を動かして抵抗した。

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あ「…やめ」

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もう駄目だ。

そう思い抵抗した身体を止めたその時だった。

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智「…何やってんの」

そう、大好きな大野先輩の声がしたのは。

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『なんだお前』

智「彼女、嫌がってるでしょ？…だから離して下さい」

『あ？お前。偉そうな口言ってっと』

智「いいから…離せよ」

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大野先輩は、私をつけていたストーカーの腕を掴むと鋭い目つきでその人を睨んだ。

今でも覚えてる。

この時の大野先輩の瞳。…すっごく力強くて、真っ直ぐで綺麗だった。

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その瞳から思わず目が離せなくなった。

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その瞬間『何やってる』と警察官の巡回がライトを照らして私達の方へ向かって来る。

『ヤッベ』と口にするとストーカーは走ってどこかへ逃げて行った。

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助かった。…すっごく怖かった。

安心と不安の交叉で思わず身体が震えて止まらなかった。

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智「もう大丈夫だよ」

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だけど、そうやって優しい笑顔で

笑ってくれる大野先輩が居たから安心出来た。

まさに私の『一目惚れ』だった。

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この日から私は大野先輩を影で追ってる。

これが私と大野先輩の初めての出会い。

そして私が大野先輩を好きになったキッカケ。

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