第一話 ページ1
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__ラン、カランカラン...
「みんな起きてー! 朝ごはん遅れるよー!!」
鐘の音と共に聞こえるのは元気な女の子の声。その声に反応し、今まで眠っていた
子供達は起きだし、部屋はあっという間に賑やかになる。
「待て待てーい!」
「待た〜ん!」
「コラ!遊んでないで支度しな。」
「エマくつはけない〜。」
「ひもむすべないー。」
「今行くー。泣かないで〜。」
子供たちを甲斐甲斐しく世話する、この中では最年長のエマ。
ほとんど皆が出て行った部屋を見渡して「あ」と声を漏らす。
視線の先には日光を浴びてキラキラ光るクリーム色の髪の少女が眠っていた。
「Aー、Aー!朝だよー、朝ごはんに遅れるよー!」
体を揺らしても反応なし。いつもの事だしまぁいいかと「先に行ってるね、早く来てよー!」
と聞こえないだろうけど話しかける。それから扉の所で呼んでいる子供達の
元へ急ぎ、廊下を出て会ったコニーとドンに話しかける。
「おはようドン、コニー!二人ともAの事お願いしてもいい?まだ寝てるから!」
「「おはようエマ!」」
任せとけ!と元気いっぱいのドンに、Aを起こせることがどこか嬉しそうなコニー。
行く途中に会った子供たちと一緒に、食堂に入る。朝とは思えないほどの元気さだ。
「ほっはよー!! ノーマン、 レイ!」
「おはようエマ。」
「ほはよー、エマ。」
「なっ!」
いつも通りの笑顔で挨拶をするノーマンに、バカにしたように挨拶をするレイ。
二人はエマとAと同じ最年長だが、エマやAと違い先に来て準備をしていたようだ。
「あれAは...今日もダメか。」
「もうアイツ一生一人で起きれないだろ。」
「そういえばAも自分で「私、きっと一生誰かに起こされて生きていくんだわ...。」って言ってような...。」
エマの言葉と真似に吹き出す二人。少し離れた所にいるママにも聞こえたようで
クスクス笑っている。ひとしきり笑った後にふとレイが口を開く。
「それにしても遅いな。...ちょっと俺起こしてくる。」
「いや、僕が行くよ。」
「いや二人とも、Aはコニーとドンに任せたから大丈夫だよ。」
そんな会話をする三人の後ろでママが子供を撫でながら「あらあら」と笑う。
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作者名:にゃんこ | 作成日時:2018年1月4日 2時