Episode94：火花 ページ7
【莉緒side】
――私が本性を見せない限りソッチも出さないつもりね。
【楽しい楽しい会話】という皮を被った【互いの腹の探り合い】も終わり、静香にさり気無く合図を出す。”次は静香が挨拶どうぞ？”なーんて表面上は言ったけど”次は静香の番だよ、『探り合い』、ご自由にどーぞ”と言っているだけ。――勿論静香も分かっている。
「ねぇ、吸血鬼。監視の目はずっとこのまま？」
「……ふーん、流石はハンターさんだね。やっぱり見破るのには優れてるんだ？」
「はぐらかさないでくれる？」
「――まぁ、今の所はね。二人が信用できるかなんてまだ分かんないしさぁ」
「……除くのはやめて頂戴、変態？」
龍虎がにらみ合うかのようにバチバチと火花を散らす。うーんっと、無神家に行く以上静香が参謀役で私が色々火花を散らすものかと思ってたんだけど……。もしかして反対だったり？
「……いいじゃん、減るもんじゃないし。 ていうか、おれをライトくんみたいに言わないでくんない？」
「それはどうかしら。寒いわ。とりあえず中に入れて。」
「確かにめっちゃ寒い……。 コウ君、私たちを中に入れてくれないかな」
「……ドーゾ」
扉をギィイイイと音を立てて開ける。うん、女の子に開けさせない辺り紳士だ。でも、ずっと女の子を外で待たせていたのは紳士じゃないぞこら。ゆっくりと屋敷に足を踏み入れると、中は暖かかった。
「あったかいね！ ね、静香」
「そうね……予想を超えたわ」
これでもかっ！と言ったぐらいに長い廊下を歩き、とっても大きいリビングに辿り着く。すると、パチパチと音を立てて暖炉から赤々と燃え盛る火が見えた。うぉおお、何あの暖炉すっごい本格的……なんなんだ、お金持ちかよ。いや、お金持ちだな。
おっと、本格的な暖炉に目が注目してしまって全く眼中になかったけれど、暖炉から目を逸らすとソファには本を読んでいる無神ルキがいた。全くこっちを見ていない。そんなに集中しているのか、それともわざとなのか。そして窓のそばに突っ立って、腕を組んでいる無神ユーマ。こちらをじっと見つめている。きっと見定めているのだろう。
私達が――己にとって利害の一致する協力者なのか、使い捨てる価値すらないただの駒なのか。
さらに無神ルキの向かいのソファでナイフを見つめる無神アズサ。ナイフを見つめてはにこやかに微笑んでいる。
**さとぅ**
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