Episode90：蝙蝠 ページ3
＿＿
佐伯莉緒side
夜の闇は暗く濃く奥へと追い詰められて、東の空には黎明の光が雲を破り始めた頃。暁の爽やかな薄明が東の空に星々のまどろみを消し去っていく。そんな明るいとも暗いとも言える時間帯、――本来ならば誰も彼もが眠っている時間帯――、早起きの人は起きているかもしれないけれど。
「ねぇ、此処みたいだけど……。無神の皆ってこんなすっごいお家に住んでたんだね〜」
「……どうしようかしら」
「んーっと、正面突破するか、裏の裏をかいて別の所から侵入するか、それとも――」
そんなことを強気で行ってみるけれど、踏み出したいのに恐くて踏み出せない子供のように、躊躇する。表には出てないだろうけれど、静香にはばれてそうだなぁ。とかそんなことを考えながら様々な案を出す。
「静香はどれがいいと思う？」
「正面突破」
「言うと思った。ふふっ、やっぱり”変わらない”ね」
「莉緒こそ」
大きなお庭を抜けていくうちに大きなお屋敷が見えてきた。私にとっては”THE☆お金持ち”のお家だったのだけれど、静香にとってはどうなんだろう。なんて考えてチラッと静香の顔を見る。すると、意味ありげに空の上を見て何かを呟いていた。
――静香は何を見ているんだろう？
そう思って静香には分からないように同じ方向を見る。するとその上には数匹の
――まるで意志が伝わっているみたい。
そんなことを呑気に考えていた私だけれど、この数日後に私は静香から知らされることとなる。
――でっかい、豪華、おっきい。
私がそのドアに抱いた感想は小学生のガキかと思うようなことばかりだった。だってしょうがないじゃない、本当にでかくて豪華で大きいんだもん。って今気づいたけどでかいと大きいって同じじゃない？ 私の語彙力を疑いたくなってきた。
「莉緒、でかいと大きいって同じじゃないかしら」
**さとぅ**
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