Episode103：駆引 ページ17
*
リビングに戻るととっても豪華でふかふかな二人掛けのソファに座らされた。静香と一緒にゆったりと座る。静香の体温が近くに感じられて安心する。――口には勿論出さないけど。
私がそんなことを考えている内、静香は蛇が蛙を睨むかのように無神ルキに視線を送り続けている。いや、この場合蛇と蛇の睨み合いだろうか。――だが、視線は合っていないみたいだ。
――うわぁ。�犇�力しようよ！ 仲良くしよう！�瓩辰討いΦい�両方にないよ……。
空気を読まないで打っ壊してもいいんだけど、私がフォローしても逆効果というか、あんまり意味がないような気がするし。どうしよ？
そんな居心地の悪いリビングをぶち破ったのは――あの無神アズサだった。
「これ……飲み物、どうぞ……」
「わ、ありがとー」
本当に、本当にありがとう。空気をぶち壊してくれてありがとう。
今ならこのお茶に毒やらなんやらが入ってても飲める気がするよ。嘘だけど。飲むふりして後で回収しようかな、どうしよ。
「心配しないでよ〜、これから協力する仲間に毒なんて盛らないから」
――ドクナンテ。じゃあ毒じゃないものなら入ってる？(ひねくれ)……なんてね。
いつもなら、スルーするところだけど、なんだか突っ込んでみたくなった。きっとこれは、これを飲むか飲まないかで私たちの反応を見ているに違いないのだから。
「うーん。毒、じゃないものが入ってる――ってのはないよね？」
隣の静香が少し震えたのが分かった。震えと言うより振動。彼女もその可能性に気付いていたのだろうか？ 幸いに彼らは気付いていない。
私はにっこりと意識的に口角を少し上げようとして途中で止める。――よくないよくない。私は普通の人間！ みたいな感じで行くんだから。かといって、舐められるわけにもいかない……いや、舐められるべきかな？
「へぇ。例えば？」
「自白剤とか――なんてね、そんなことないよね！ ――信じてるからさ」
――もちろん嘘だよ。
でもこんなところで足食ってる場合じゃないんだ。寒い中で待たされてた怒りは消えないみたいだけど、それは静香も分かってるはず。――まだ私も根に持ってるけどね！ 後で本当に些細な復讐でもしてやる。
先陣を切るような形でそっと喉に含む。本当に少しを口に含んで、こくんと飲み干す。
「……莉緒っ」
「――大丈夫、静香は飲まないで。いざとなった時には静香に守って貰うんだから、ね？」
*さとぅ*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
