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17/一筋の光に見えたモノ ページ19






「チッ、レイジかよ」


その声と同時にアヤトが少女を絡み抑えていた手がするりと緩む。
その一瞬を少女が本能で察して、ここぞと抜けだす。

黒髪の男は「レイジ」と言うらしい。


「ここは仮にも客人を迎える場所、エントランスです。そう言う事は自分の部屋でやりなさい」


レイジと呼ばれる男はアヤトに向かって、冷めたような目つきと声でそう言った。
しかも、自分の部屋でならしてもいいようだ。
どうなっているんだろう、この屋敷の人間は。


「た、助けてください……!」


少女はアヤトより、レイジの方が安全だと思ったのか、助けを求める。
が、勿論。一筋縄でどうにかいくような人間ではない。
勿論黒髪の男も、色々ひねくれている様だった。


《常識人? ……そんなのいないよ》

それがまさに、この家の現状。


「貴方は?」

「ッこ、小森ユイです! 父が、此処でお世話になるようにって……!」


少女はたどたどしく言葉を伝える。
少女の名前はどうやら小森ユイと言うらしい。


「聞いてませんね。アヤト、どういうことです?」


レイジがアヤトの方に流し目をしながら問う。
レイジからしてみれば初耳の話だったようだ。


「あ”ぁ? そんなの知るかよ。つーかチチナシ。オマエそんなこと言わなかったじゃねーか」

「そ、それは……! 貴方がいきなり襲いかかってきたから……。しかも。チチナシって……! それ私のこと?」


言い訳らしくなってしまうけれど、本当の事だ。
説明する前に襲い掛かってきたのはあっちの方である。
そして、ユイは自分が”チチナシ”と呼ばれた事実にようやく気付く。

顔を真っ赤にしながら、内心怒っているのだろう。
――それとも、恥ずかしいと言う感情の方か。


「ばーか、お前以外に誰がいるんだよ。そんなことも分からねぇのかよ、チチナシ」


挑発としか取れないような口調で、アヤトはユイをからかう。
ユイもユイで、その挑発に乗ってしまいそうな勢いだった。
ユイがアヤトに言い返す何秒か前に、レイジがふと疑問を口にした。


「おかしいですね……。私は何も知らされていませんが―――…まぁ、取り敢えずこちらへ」







____

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角砂糖(プロフ) - 恵香さん» 本当ですかーっ!?ありがとうございますーっ!!更新頑張りますううううっ!!!コメントありがとうございますーっ!!!何よりの励みになります!!! (2016年5月29日 18時) (レス) id: 1a5848f332 (このIDを非表示/違反報告)
恵香(プロフ) - この作品とっても好きなので応援しています!!頑張ってください!!!ヾ(゚▽゚*)>フレー!!フレー!!<(*゚▽゚)ツ (2016年5月29日 18時) (レス) id: 885314e838 (このIDを非表示/違反報告)
恵香(プロフ) - 1がいいです! (2016年5月29日 18時) (レス) id: 885314e838 (このIDを非表示/違反報告)
みかん大好き(プロフ) - さとぅさん» これからも応援してます! (2016年5月28日 7時) (レス) id: d1b3892697 (このIDを非表示/違反報告)
さとぅ(プロフ) - みかん大好きさん» コメントありがとうございます! (2016年5月27日 22時) (レス) id: 1a5848f332 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとぅ | 作者ホームページ:.。o○  
作成日時:2016年3月20日 18時

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