(１３) ページ13
・
『………う、ん？』
薬品の匂いで目が覚めた。
顔を横に向けてみる。
どうやら医務室のベッドに寝かされているらしい。
『………っ、』
重だるい体に鞭打って起き上がると、着ていたジレとハリーのカーディガンがベッドの足元にかけてあるのが見えた。
血がついていないところを見ると、誰かが綺麗に洗濯
してくれたらしい。
当然僕は今シャツ1枚で、左腕が包帯でぐるぐる巻きにされていた。
胸元のボタンを少し開いて覗き見ると、肩から胸にかけてしっかり包帯が巻かれている。
………マダム・ポンフリーが手当してくれたのか、と巻かれた包帯をボーッと眺めていると穏やかな声が聞こえた。
「目が覚めたようですね………良かった」
『マダム……』
「驚きましたよ、突然ハグリッドが駆け込んできて
腕に血まみれの貴方を抱いているんですから……」
『お手数お掛けしました……もう大丈夫です』
「まぁ、何を言うの？
それはただの応急手当、傷口が塞がった訳では無いのですよ
あなたの身体は昔から、わたくしの作った薬を受け入れてくれませんからね」
数日間は絶対安静だと言うマダム
僕は申し訳なさに肩を竦めて
そういえば、と疑問に思ったことを問いかける。
『あの、マダム……起きてから傷が全く痛まないのですが』
そう、身体の重だるい感じはあっても怪我が痛む様子がない。
不思議に思っているとクスッと笑ったマダムが驚きの事実を教えてくれた。
「やはり、貴方の事はセブルスに聞くのが一番の様ですね」
『………え、セブルス？』
思ってもなかった名前に目をパチクリと瞬く。
マダムは小さく頷くと、詳しく教えてくれた。
「ハグリッドが貴方を連れてきてから、私は必死に血を止めようとしました。
相当血を失っていたのか、貴方の顔は真っ青になっていましてね………あのままでは命を落とす所だったのです」
『………』
「ですが、どんな止血薬を使っても血が固まらず………もうダメかと思った時セブルスが現れましてね」
どうやらドラコ君が彼に僕の事で助けを求めたらしい。
それで急いで来てくれた……と。
「セブルスは見たことの無い液体を持っていて、それを徐に貴方の傷口にかけたのです。
私は驚いてそれを止めようと思ったのですが……なんと数秒と経たない内に血が止まり、貴方の表情は穏やかになりました」
後でお礼を言ってくださいね、と笑うマダム。
僕は目を潤ませながら頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび(プロフ) - さやかさん» 嬉しいコメントありがとうございます！！私もアズカバンの囚人が1番好きなので、ついつい長々と書いてしまいました！笑 最後までよろしくお願いします！！！ (2022年9月29日 21時) (
レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です！個人的にハリポタの中でアズカバンの囚人が1番好きなのでほんとうに楽しませてもらっています！これからもよろしくお願いします！(^^) (2022年9月29日 20時) (レス) @page50 id: dad1d07543 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 見知らぬ子猫さん» わわ！一気に！？それはお疲れ様でした……！とっても嬉しいコメントありがとうございます！！亀更新ですが最後まで頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2022年9月26日 7時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
見知らぬ子猫(プロフ) - ここまで一気に見させてもらったんですけど面白すぎます！！これからの展開がすごく楽しみです！頑張ってください！ (2022年9月26日 4時) (レス) @page37 id: 1647542551 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - りおさん» ありがとうございます！！！頑張ります！！！！ (2022年9月8日 21時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび | 作成日時：2022年9月8日 14時
