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Harry side






暖かい。



先生が用意してくれたミルクティーも、暖炉も。




全部僕の為に用意してくれたんだと思うと、幸せな気持ちでいっぱいだった。




裸足は寒いだろう、と先生は暖かい毛糸の靴下を履かせてくれて





『これなら部屋に帰る時も音はなりませんよ』と悪戯な顔をして笑った。





暖かい……。





早くに両親を亡くした僕は、誰かから特定の愛情を向けられた事がなかった。





そんな僕にあの日、保健室で先生は僕の事を「大好き」だと言ってくれたんだ。





暖かい華奢な手で僕の手を握ってくれて、誰よりも優しい笑顔を向けてくれる。




両親の話を聞きたいと言うと、嫌な顔ひとつせずにたくさん教えてくれた。





悪戯好きで、でも母さん一筋だった父さんの話。




しっかり者で、誰よりも正義感が強かった母さんの話。




会ったこともないのに僕は二人の事が大好きになった。





不安な夜があると、自然と先生の部屋に足が向いていて





少し眠たそうな先生は、眠れない僕の為にホットミルクを作ってくれる。





そして僕が安心して眠れるように抱きしめながら子守唄を歌ってくれるんだ。





…………先生は僕の父さんみたいで、ついつい甘えてしまう。





もう12歳にもなるのに………と恥ずかしくなって相談したら





可笑しそうに笑って頭を撫でてくれた。





その手が僕は大好きで。





本当に本当に大好きで……。






先生が僕の父さんになってくれたら良いのに、と心から思った。




そんな贅沢、望んじゃいけないんだろうけど。





先生は皆から好かれてるし、誰にでも分け隔てなく接してくれる。






特別なのは……僕だけじゃない。





そんな事はわかっているけど、でも今だけ……





今この瞬間だけは………





先生を独り占めできる幸せに浸っていたいと思うんだ。






「先生、今日も父さん達の話を聞かせてくれますか?」






『えぇ、もちろんですよ。ハリー。


でももう夜遅いですから………、そうですねぇ


手短にジェームズの失敗談でも話しましょうか』





悪い顔をして笑う先生。





「あははっ聞きたいです!」





僕も悪い顔をして笑い返す。






限りある先生との2人っきりの幸せな時間を、





僕はただ噛み締めながら夜を過ごした。

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わさび(プロフ) - 海月湊さん» 嬉しいコメントありがとうございます!そう言って頂けると励みになります!これからもよろしくお願い致します。 (2022年9月2日 21時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
海月湊(プロフ) - とても面白かったです。私好みの、作品でした。続きを楽しみにしています。更新頑張って下さい。 (2022年9月2日 18時) (レス) @page20 id: 5a465236d8 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - ぶどうさん» 応援のコメントとご指摘ありがとうございます!編集いたしました!これからもよろしくお願いします´`* (2022年8月27日 21時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - コメント失礼します。凄いスラスラ読めて、とても面白かったです。これからも応援してます!(細かい事ですが、マルフォイのファーストネームはドラコだと思います) (2022年8月27日 20時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わさび | 作成日時:2022年8月23日 15時

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