肆ノ型 ページ5
ふと、ジリリリリとやかましい音で鳴る目覚まし時計の音で朝が来たことに気がついた。
手探りで音が鳴っている方に手を伸ばし、鷲掴んでで止めた後、現在時刻を確かめるため重い瞼を開く。
時刻は4時15分を示していた。
「……はぁ。」
普段ならばまだすやすやと健康的な睡眠をしている時間帯なのだが、今日は大切な入学式の日だ。
私が生まれ変わって今年で十六年目。色々あったが、この世界によく馴染めてきたとは思う。
ぼさぼさと雑草のような寝癖頭の上に手をやると、今まで縮こまっていた身体に血液が循環するのが分かる。
倦怠感に満ち溢れる体を無理矢理叩き起こし、朗らかな春の朝日を浴びる為に朝日が射し込む窓の方へいく。
動かない頭でカーテンを開けると、私が育てている花たちに、いつもの通りひらひらと揺らめく可憐な蝶々が集まっていた。
陽光で透けて輝く色とりどりの羽に、ふと昔の記憶がよみがえってきた。
長年の宿敵であり、昔の家族の敵である無惨の根城で戦い、勝利を収め、命を落とした。
今でもなお生々しさを伴って今のような日常の一瞬に出てくる記憶を頭の隅の方に追いやり、ボーッとしながら他のことを考えた。
昔の自分のことだ。
この世界の事情をあらかた知って、一人での行動がある程度可能になった時。
また人間に生まれ変わることができたと喜び、昔の仲間を探したり、昔住んでいた家があった場所に行ったりもした。
また、些細なことでも笑って毎日を過ごすことができると思うと、それだけで涙が止まらなかった。
奇跡だ。今まで命を懸けて戦い抜いてきた私たちに、幸せになる権利を神様が与えてくれたのだ、と本気で信じていた。
_____実際。
仲間は誰一人として見つからず、家の跡地は私なんかが行くと怒られてしまいそうな高級一級住宅街になっていて、挙げ句の果てに両親は数年前に病死してしまった。
堪らず「何でこんな目に」と零したこともあった。
来世があったなら、と考えた。
鬼のいない世界の続きが見たいとも考えた。
だが、肝心な部分は叶えられていない。
仲間がいなければ、まるで意味がないのだ。
それに、鬼も＿＿＿＿。
考えれば考えるほど、暗い考えが頭の中をぐるぐると回り、思考を覆っていく。
だが、いつまでも窓際に立ち尽くしていると、貴重な朝の修行の時間がなくなってしまう。
何より近所の人に見られでもしたら心配されてしまうので、私はとりあえず頭を切り替え部屋の中へと下がることにした。
ラッキー食べ物
すし
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ねぎ＋(プロフ) - 水稀さん» ありがとうございます！銭湯…同音とはいえ、お恥ずかしい限りです…これからはできる限り誤字をなくしていきます！ご指摘ありがとうございます！ (2021年8月3日 22時) (
レス) id: 124a1bc937 (このIDを非表示/違反報告)
水稀 - 最新話で、轟君を捕縛したところで、恐らくですが、誤字を見つけました。銭湯の所多分戦闘だと思います。間違いだったらすみません。 (2021年8月2日 14時) (レス) id: 41c46c637f (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ＋(プロフ) - 水稀さん» コメントありがとうございます！そうなんです、戦闘シーンが思った以上に難しくて苦戦してます 笑 面白いと言っていただいてとても励みになります！これからも更新していくので、応援宜しくお願いします！ (2021年7月15日 1時) (レス) id: 124a1bc937 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ＋(プロフ) - 高校ぐらし！！さん» コメントありがとうございます！面白いと思っていただけて良かったです！今後も地道に活動していくので、応援宜しくお願いします！ (2021年7月15日 1時) (レス) id: 124a1bc937 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎ＋(プロフ) - 朱鷺巫女さん» コメントありがとうございます！これからの展開も頑張っていくので、応援宜しくお願いします！ (2021年7月15日 1時) (レス) id: 124a1bc937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねぎ＋ | 作成日時：2021年2月21日 15時
