忍術学園の六年生には、女子がいる ５

天使のお世話の段5 ページ29

いつもの元気さを取り戻した守一郎も折り紙遊びに加わったが、全員折り紙は余り織らず、頑張って鶴を作るAを見つめていた


小さな手で、ちまちまと動かしながら形を作っていき、頰を無意識に膨らませる様子に四年生は悶えて続ける


喜八郎「A先輩のためなら、何でも与えちゃいそうになる…」


滝夜叉丸「こんな天使と出会えてよかった…」


『できたー！』


タカ丸「わー！上手！」



手に綺麗な鶴をかがげ、仁王立ちするA

嬉しそうなAに四年生は拍手を送る


その時だった、突然誰かの声と共に、強い風が通り過ぎたのだ


驚いて、風の方を向くと其処にいたのは、指を彼方此方に指しながら、目的地を探す神崎左門の姿があった


左門は止まったかと思えば、くるりと向きを直し、近づいてきた



三木ヱ門「左門！何してるんだ⁈」


左門「三年は組に向かおうとしているんです！」


守一郎「でも、行きたいところは此処から反対方向だよ。」


左門「そんな！もう一回、彼方へ向かわなくては！三年は組は、どこだー⁈」



そのまま走り出そうとした左門だったが、仁王立ちしているAに気づくと、目をパチパチと瞬きさせる


ゆっくり歩きAに近づくと、脇腹を持って抱き上げる


目の前にAを持ってくると、顔を凝視する


すると、何かに気づいたのか、大きな声で叫んだ



左門「これは、もしやA先輩なのでは⁈」


『だー！』


左門の言葉をよく分かっていないが、元気にだー！とはしゃぐA


Aを抱きながら、四年生をきらきらした目で見つめる



左門「僕も、A先輩とあそびたいです！」


すっかり元の予定を忘れた左門は、それに気付かないまま、四年生に頼み込む


自分達が見てれば何処かに行かないと思った四年生は、了承を出した



しかし、その時


予定を思い出した左門は、Aをだきしめているというのに、今にも走ろうとしているそうだった



三木ヱ門「どこへいく気だ、左門！」


左門「予定があるので、三年は組へ行きます！三年は組はどこだー！」


滝夜叉丸「ちょっ、待て！」



四年生の制止の言葉も全く聞こえず、猛スピードであちこちを走り回る



『きゃー！わー！』


だがAは、怯えるどころか、楽しんでいる


よく山を駆け巡るAからしたら怖くはないのだろう


すると其処へ、二人に人影が近づいて来た

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